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「僕は困っています」コロナ禍で資金難に苦しめられる選手たち

 コロナ禍で経済の先行きが暗くなっている今、1年延期になることで活動資金の問題に苦しめられる選手も増えていきそうだ。フェンシングのロンドン五輪男子フルーレ団体で銀メダルを獲得している三宅諒は、SNS(ツイッター)で「僕は困っています。助けてください」と投稿し、約67万円の海外遠征費用の請求書画像をアップ。「人生を考える時が来たようだ」とも書いている。フェンシングは国際大会の成績で代表権を得るシステムだけに、これはつらい。


 メダリストでさえこの状況なのだから、マイナー競技の選手たちは大変だ。クラウドファンディングで遠征費用を調達して代表権を勝ち取ったのは、セーリング男子49er級の高橋稜・小泉維吹組。押し寄せるコロナ不況の下で彼らの今後はどうなるのだろうか。活動がままならないとなれば、競技力を保つことは難しい。

心身に負担がかがっている選手、モチベーションを維持できるか

 身を削りながらギリギリの戦いを続け、心身に大きな負担の掛かっている選手もいる。厳しい減量を強いられているレスリング男子57キロ級の樋口黎は、リオ五輪の銀メダリスト。彼は延期発表の前日にSNS(ツイッター)で「1年2年延期になれば選手生命のピークを超える人がいる…俺も歳が限界…カモ…」と切実につぶやいている。

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 1年延期が発表された後には「予選どうなるかだな〜」と投稿。24歳の樋口ですらこのような反応になるほどなのだから、30歳を超えた選手がもう1年、高いモチベーションを保つことはできるか。

 21年に32歳になる卓球男子の水谷隼は、自らの写真にしわ加工を施して老け顔にした写真をSNS(ツイッター)にアップした。日本卓球協会の上層部は、水谷をはじめとする男女6人(張本智和、丹羽孝希、伊藤美誠、石川佳純、平野美宇)の内定継続方針を示しているが、さすが水谷と言える強靱なメンタルの投稿だ。ただ、五輪レースや国内選考がこれからという競技のベテランたちの心中はもっともっと複雑だろう。


大会のズレがプラスに働く選手、マイナスに働く選手

 今後に発表される世界ランキングで出場資格が決まることになっている競技には、バドミントン、テニス、ゴルフなどがあるが、これらは五輪選考の対象大会をすべてこなす前に大会そのものが中止になってしまった状態だ。リオ五輪のバドミントン女子ダブルスで日本初の金メダルを獲ったタカマツこと高橋礼華&松友美佐紀組の東京五輪出場は現時点では非常に厳しいが、今後決まっていく選考システムがプラスに働くか、マイナスに働くか、という部分もある。