昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/03/27

 首相は財務省の報告書も「評価」している。その評価から見えるものは何か。佐川氏がなぜ改ざんを指示したのか。ジャーナリストの立岩陽一郎氏は、

《政権の中枢から彼に指示が出ていた可能性も否定できないが、仮にそうでなかったとしても、無言の指示が出ていたと考えるのが合理的だ。それが、2014年に安倍政権がつくった内閣人事局の狙いだからだ。官邸の意を受けて動かない役人は能力の有無にかかわらず出世できない。それがこの政権のつくり上げたシステムだ。》(日刊ゲンダイ3月25日付)

 と指摘する。「内閣人事局」というシステムを見直す必要があると。

 実際に佐川氏ほか、手記に出てきた官僚の面々は改ざん事件のあとにむしろ出世、栄転している。

「私の発言がきっかけだったという記述はない」という論理

 実は安倍首相の言葉にも、このシステムのからくりが見えたのだ。

 赤木さんの生前の手記の中には「私の発言がきっかけだったという記述はない」という部分である。

 私の発言とは2017年2月17日の国会での「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」を指している。これがきっかけだと手記には書いていないではないか、という論理である。

 この「直接書いていないから問題ない」は非常に巧妙だ。首相官邸の思惑を読んでいかに動くか、という現在の役人の生態を「信頼」しているから出る言葉ともいえる。今のシステムが成せる技なのだ。

 だからこそ、財務省自身による調査ではなく第三者機関を入れた調査が必要なのだ。外部の人間によって、官僚からその生態をじっくり聞き出さなければならない。そういう場でやっと放たれる小さな声はきっとある。五輪の前に森友再調査こそ「完全な形で」おこなわれるべきなのである。

森友問題を巡る参院予算委の質疑で、秘書官に耳打ちされる安倍首相と麻生財務相 ©共同通信社

 最後に。

 日刊スポーツ(3月24日)に掲載された「赤木さんを死に追いやったのは、だれだ」(大谷昭宏)の最後の一節を紹介する。

《なにより大事なことは、決して赤木さんの妻だけの戦いにしてはならないということではないだろうか。》

 そう、これは決して赤木さんの妻だけの問題ではない。孤独な戦いにしてはならない。

 公文書や議事録をきちんと残すことを求めること、もしくは残さなかったり改ざんした理由をハッキリさせるのは、私たちや、未来の日本人のためである。

【続き】#1「森友自殺“遺書” 圧倒的88%が「財務省は再調査すべき」で一致する根本理由――アンケート」

この記事の写真(3枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー