新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の東京都内の感染者数が急増している。3月25日、小池百合子都知事は緊急の記者会見を開き、現在の都内の状況を「感染爆発の重大局面」と発表。週末の不要不急な外出を控えるように呼びかけた。そして27日、東京都は都立公園などで花見の全面自粛を求め、週末を前に桜の名所として知られる上野公園、代々木公園、井の頭公園では、ロープやテープを張って一部が通行止めに。先週の3連休は、ちょうど東京の桜が見頃を迎え、花見に出かけた人も多くいた。実際に上野公園で花見をする人たちに、足を運んだ理由を取材した。(取材・文=真島加代/清談社)
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「宴席禁止」の看板が並ぶ花見スペース
3月22日、上野公園の桜は満開となり、天気は快晴、気温20度を超える絶好の花見日和だった。新型コロナさえ流行しなければ昨年同様、宴会が催されただろう。
しかし、花見スペースにはロープが張られて「宴席禁止」の看板が並び、園内では「宴会等の行為はお控えいただきますよう、ご理解ご協力をよろしくお願いいたします」というアナウンスが流れていた。酒やつまみを片手に園内を散策しながら桜を楽しむ人々に話を聞いた。
“お散歩スタイル”で花見をしてます
「毎年1回、高校時代の同級生たちと上野公園でお花見をしているんです。朝5時から場所取りをして、10年以上も続けている会なので、中止するのは忍びなくて今日は参加できる5人だけ集まりました。立ち止まったり歩いたりする“お散歩スタイル”で花見をしてます。このあと『居酒屋に移動しようか』なんて言っていたけど、飲食店で密集してお酒を飲むほうが危なそうですよね」(男性・会社員・30代)
「大人数が密室に集まるのは抵抗があるけど、歩きながらならいいかなと思って、同僚とふたりで来ました。毎年、会社全体で花見の席が設けられていたんですけど、今年はさすがに中止になりました。残念ですけど仕方ないですよね」(男性・会社員・30代)