コロナ騒動が収まっても、すぐには安定しない可能性
「初心に戻って、一人でカウンターに立つという店主もいるようです。店や店主に付く客ばかりではなく、アルバイトの従業員に付くお客さんもいます。そういうお店の場合は、アルバイトがいないと客数は減ってしまいます」(同)
ある店主(30代)は、自身のほか、数人のアルバイトでシフトを回している。しかし、先月から客数が極端に減り、厳しい経営を迫られている。「当面は自分だけで立ちます」。
昨年のラグビーワールドカップのときは、ラグビーファンが多く押し寄せた。試合後は、大いに盛り上がり、警官隊が出動するほど、路地に人が溢れた。当時と比べると、外国人観光客もいない。客足を取り戻すにも時間がかかる。そのため、コロナ騒動が収まっても、すぐには安定しない可能性もあるだろう。
経済的な理由での「死」が現実味を帯びている
「この状況が続いて経営が厳しくなると、店主が自殺をしてしまう心配もあります。組合としては、そうならないための対策も案内しています」(同組合)
同組合では、新宿区の中小企業向け制度融資「商工業緊急資金(特例)」を勧める。貸付金額は500万円以下、貸付期間5年以内、金利は区が全額補助、信用保証料の負担もなし、というもの。ただし、助成金ではなく、あくまでも貸付である。
「紹介している区の融資は、ハードルがもっとも低いと思います。必ず貸付されるとは限りませんが、申し込みだけでも済ませておくように話しています。それだけでも、ストレスが軽くなるはずです」(同)
夜の街に繰り出すことを自粛するよう都知事はメッセージを発信したが、数字だけ見れば、「夜の街」が突出しているわけではない。ただ、収入を絶たれた側にとって経済的な理由での「死」が現実味を帯びている。自粛要請をするのなら、まずは「夜の街」で働く人たちへの保証を充実させることが必要ではないか。