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サラリーマンが買ってはいけない物件を見極める“4つのポイント”

2020/04/04
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新築物件は購入後しばらくは手間いらず

 これから初めて不動産を買う人にとって、「新築」は高嶺の花。価格が築年数の古い中古物件よりも高いため、買いたくても買えない人は多い。そんな新築のメリット、デメリットを挙げてみよう。

〈新築のメリット〉

・新築は入居者を募集しやすく空室の不安はあまりない。経年しても、しばらくは人気が高い家賃を高めに設定できる

・修繕コストが低い

・融資が受けやすい

・売却しやすい

 新築は、新築ということだけでプレミアがつく。不動産会社も、新築物件は高く貸せるとあって、積極的に募集をする。募集時期さえ外さなければ、空室の不安を抱えることもない。すべてが新品の状態であるため、最初の8年くらいまでは、室内の設備が故障するリスクが低く、退去が発生した後の新規募集も、原状回復のみでできる。結果として、ほとんど修繕コストがかからず、空室対策を施すなどの手間がかからない。

 取得する際の融資も、新築の方が中古よりも良い条件で融資を受けやすい。長い期間の融資を組むこともできる。融資期間については意見が分かれるところだが、第4章で説明するように、基本的に融資期間が長い方が手元に残るキャッシュが多い。手元のキャッシュが多ければ、次に購入する不動産の資金として投入することができる。金利も中古よりも低い金利で融資を受けやすい。

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 さらに売却の際、長期譲渡所得税が採用される5年超持ち続けても、築年数1年以内の築浅物件として売りに出せるので、買い手がつきやすいというメリットもある。

©iStock.com

〈新築のデメリット〉

・購入価格が高く、中古に比べると利回りが低い

・土地を探し、建築しなければならない

・建物が完成するまで、土地代の借り入れ返済が厳しい

 新築は価格が高いため、資金力に余裕がなく自己資金をあまり用意できないと、利回りが低いため経営が厳しくなる。借入比率が高いと、満室でも手元に残るキャッシュは少なくなる。しかも、経年して入居率が低下すると、さらに返済が厳しくなる。

 また新築は、建て売りで販売に出ている物件以外は、土地から探さなければいけない。たいていは、新築アパートやマンションを販売する会社が土地を紹介してくれるが、中には地域相場よりも高い価格で販売し、一儲けしようと考える業者もいるため、気をつけなければいけない。また、土地をまず購入して、その後建物を建築するため、土地購入代を借り入れでまかなう場合、その土地からの収入がない中で返済しなくてはならないため、財務的に厳しくなる。

 以上のように、新築はメリットが多いが、資金力がないと金融機関から融資を受けることができたとしても、なかなか利益を上げにくい。土地を契約してから建物工事中の期間は自腹を切って返済しなくてはならないので、資金的余裕がない場合は実現が難しい。