高齢化に伴い孤独死が増え、高齢者が変わり果てた姿で発見されることが社会問題となっている。また、隣人トラブルから殺人事件に発展してしまうなど、賃貸住宅の一室で起きた事件が世間を騒がせることもしばしばある。全国賃貸住宅新聞社が発行する賃貸不動産オーナー向け情報誌・月刊「家主と地主」が取材した、賃貸経営にまつわる稀有な経験・事件を紹介する(出典:「家主と地主」2019年9月号)。
不可解な男性入居者 部屋中が泥まみれに
20年前、オーナーのAさん(東京都杉並区)が、区分所有するマンションの一室に男性を入居させていたときの話。
同男性は奇声を発したり、玄関に塩を撒く姿など、不可解な行動が隣人に度々目撃されていた。
次第に、家賃を滞納するようになり、Aさんは管理会社経由で督促の電話を入れた。
連絡がつかなかったため、同男性が入居している部屋に行くと、生活用品をだけを残し、夜逃げしていたことが判明した。
なぜか部屋は泥まみれで、依頼したリフォーム業者からは「馬を飼っていたんですか」とまで言われる始末だった。
調べると、同男性の趣味は陶芸だったという。部屋中に撒き散らかされた泥の正体は、使用した陶芸の残骸だったのだ。
「家賃、光熱費を半年間滞納され、リフォーム費用40万円も私の負担になりました。揚げ句の果て、暫くは残置物の保管で入居募集すらできませんでした」と嘆くAさん。同男性の行方は今も分からないままだという。