東京都で新型コロナウイルスの感染者数が急増すると、繁華街の様子も一変した。なかでも深刻なのは新宿・歌舞伎町だ。「キャバクラ嬢や風俗店従業員など十数人が感染」と報じられて以降、客足が一気に途絶え、休業する店が相次いでいる。
もっとも、歌舞伎町には店舗型の業種だけではなく、外から様子がわからない派遣型風俗店のデリヘルも多数存在する。感染拡大はそれらの店にどう影響しているのか。デリヘルを経営する飯島さん(仮名、33歳)に話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)
3月下旬から売り上げが10分の1に激減
──もはや歌舞伎町には人がほとんど歩いていません。休業する店も増えています。ホテルなどに女の子を派遣するデリヘルにはどれくらい影響が出ているのでしょうか。
飯島さん お客さんの数はメチャクチャ減っています。うちの店では、利用客の約5分の1が中国や韓国、台湾、アメリカやヨーロッパなどの外国人だったのですが、まず2月の半ばあたりからそういった訪日外国人客が来なくなりました。さらに、3月初めに小中高校の一斉休校が始まると、日本人のお客さんもガクッと減ってしまった。
数字でいえば、2月に2000万円の売り上げがあったとすると、3月は1000万円に半減したようなイメージですね。それでも、3月の三連休は売り上げが良かったので、コロナ騒動が落ち着けば徐々にお客さんが戻ってくるのではという期待があったのですが……。
──三連休の翌週から感染者が増えて緊迫感が高まり、3月30日に小池百合子都知事が繁華街への出入り自粛を要請、4月1日には歌舞伎町の感染者増が報じられました。
飯島さん それで状況が一気に悪くなりましたね。従来の売り上げが1日100万円あったとするなら、直近の週末は1日10万円まで落ち込みました。10分の1までの売上減です。
客を取れるのは色恋営業できる風俗嬢だけ
──ただ、この状況にいたってもデリヘルを利用する人が一定数いることはある意味驚きです。飯島さんの店は客単価3万〜4万円と聞いているので、高級店ですよね。
飯島さん いま来てくれるお客さんの大半は本指名、つまり、一度指名した女の子を再度指名するリピート客です。こうしたお客さんには、指名する女の子に本気で恋愛感情を抱いている、いわゆるガチ恋勢が多い。本気だからどんな時期でも会いに来るんです。
いまはこうした色恋営業ができる女の子のほうが圧倒的に強いですね。普段から仕事に消極的で、フリー客メインでやっていたような子は厳しい状態になっています。