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 クリント・イーストウッドの監督・主演映画でその名も「運び屋」という映画があった。生花園がつぶれ、高額報酬に釣られるままに麻薬の運び屋稼業に手を染める高齢の農家を好演していたが、この映画のポイントは、高齢の素人であるからこそ、警察に疑われることなくトップの運び屋になっていく、という筋書きだ。

 運び屋は逮捕のリスクも高いが、素人であればあるほどバレにくい。つまり、麻薬組織としては運び屋に使い捨ての素人を雇う積極的な動機が存在する、ということだ。

 その点、素人を広く募れるツイッターは理想的ともいえる。

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写真はイメージで本文とは関係ありません ©iStock

 募集の文言のなかにはよく「#債務者#借金」というキーワードも挟まれる。こうした闇バイトに群がる層がどんなものかを物語る。実際、ある多重債務者の中年男性も「借金で首が回らなくて、詐欺絡みの闇バイトに応募しようと思ったことがある」と打ち明ける。この男性は思いとどまったが、その裏に誘惑に負ける幾多がいることは想像に難くない。

 公共空間で恥じらうこともなく発信される犯罪者の募集。誰でも検索して見つけられるだけに、差別的な発言を理由にアカウントを次々に凍結しているツイッターの運営側による凍結が追いつかないのは、不思議といえば不思議だ。

 鍵は、先ほどの画像付きのツイートにあるのかもしれない。ツイッターがアカウントを削除するときの一番の手がかりは、ツイートのテキストだ。だが「プチ」などの単語は健全な意味でも広く使われており、削除の網に引っかからない可能性がある。それでも性行為の料金表は十分、削除対象となりうるが、画像にしているため、これもまた既存の監視網にかかりにくいとみられる。

削除対象にならないよう、工夫された女性側のプロフィール

 さらなる問題は、新型コロナウイルスにより不況に突入した経済情勢下で、こうした多重債務者など闇バイトの走狗となりそうな層が増えることが見込まれることだ。

《コロナの影響でバイトに入れてない人、稼げてない人、お金に困ってる方はご連絡ください!》というようなツイートも出回り始めた。

 もちろん、外出の自粛要請がさらに強化されればどうなるかはわからない。《新型コロナウイルスの影響で人が集まらないので高額お約束いたします》というつぶやきも散見される。コロナ不況が闇バイトを同じく不況に追い込むのか、それとも特需をもたらすのか。どちらの帰結が社会にとって望ましいかは言うまでもないが。