女子中学生が廃墟で殺害された事件も
かつて神奈川県にあった病院の廃墟を訪れた際には、数十人の暴走族に囲まれたこともあった。その時は私一人だけで廃墟から出てきたので不気味がられて事なきを得たが、もしも女性だったら危なかったかもしれない。
実際、廃墟で事件も起きている。2004年、千葉県にあるホテルの廃墟で、女子高校生が5人の少年らに拉致されたうえ暴行殺害される凄惨な事件が発生した。2006年には岐阜県にあったパチンコ店の廃墟で男子高校生が女子中学生を殺害する事件が発生。最近だと2017年に愛知県のラブホテルの廃墟で、刺殺された男性の遺体が発見された。
必ずしも廃墟に出かけて行って事件に巻き込まれた訳ではないが、廃墟には常に危険が付きまとう。事件だけではなく、転落死などの事故も度々起きている。
そして坪野鉱泉は、廃墟は危険な場所である、ということを示す象徴的な存在として、廃墟を訪れる者に対して警鐘を鳴らし続けてきた。
遺体は40キロ離れた港で発見された
しかし、行方不明になっていた2人のご遺体は、坪野鉱泉ではなく、そこから40キロも離れた射水市の伏木富山港で見つかった。車で移動すると1時間を要する距離だ。
位置関係としては、自宅がある氷見市と坪野鉱泉の間に伏木富山港があり、彼女たちが友人のポケットベルに「魚津市にいる」というメッセージを残していることから、坪野鉱泉を訪れた帰り道に伏木富山港に立ち寄ったものと推測される。
私が地元の人に話を聞いたところ、伏木富山港周辺は深夜でも若者が集まるスポットになっており、少女2人が立ち寄ったとしても不思議はないという。
では、彼女たちは本当に、廃墟で事件に巻き込まれた訳ではなかったのか。個人的には、疑問も残る。直前に訪れた坪野鉱泉と関連がある可能性も完全には否定できない。また、ご遺体発見までに24年間という非常に長い歳月を要しているが、これこそ本事件最大の謎というべきだろう。