事故物件にばかり6年間住み続けていると、さすがに様々な現象に見舞われた。
初めに住んだ物件(連続殺人があったマンション)では、電話の向こうから女の声が聞こえると言われたり、女が憑いているからという理由で喫茶店を入店拒否されたり、マンションの入口で車に轢かれたりした。
2軒目に住んだ物件では、「ゴボゴボゴボ」という音が入った謎の留守電が残されたり、何者かにドアノブをガチャガチャされたり(この部屋で殺人事件を起こした犯人だった可能性が高い)、スマートフォンのカメラでは顔認証が機能しなくなったりした。
3軒目では慢性的な頭痛に悩まされ、4軒目では部屋に入るなり気絶し、5軒目では寝ても体力が回復せず、後輩芸人とルームシェアしている6軒目では僕ではない誰かが帰ってきているという。
引っ越しを手伝ってくれた後輩2人が車に轢かれる
奇怪な現象は自分だけではなく、周りにも伝播した。
事故物件への引っ越しを手伝ってくれた後輩芸人2人が、僕が車に轢かれたのと同時期に、同じく車に轢かれている。
僕を事故物件に住まわせた張本人、松竹芸能の先輩である北野誠さんは、電話で僕に仕事上の注意をした直後、飼い犬が危篤状態になった。
プライベートで僕と一緒にハイキングに行った一般女性は、山中で20mの大木が倒れてきて、危うく下敷きになるところだった。
ラジオ番組のイベントを観覧していたおじさんは、僕と握手をした瞬間に、大勢が見守る中、掛けていた眼鏡が吹っ飛んだ。
放送局の営業の方とLINEを交換すると、その瞬間からその方のスマートフォンの待ち受け画面にブラックホールのような大きな黒い円が表示され、消えない。
テレビ番組のオーディションでは、僕が怪談を話し始めた瞬間にスタッフの数珠が弾けた。
「23時 松原タニシさん 女性2人と来店」のメモ書き
怪談イベントをさせてもらった岡山のゲストハウスでは、僕が泊まるはずの部屋に謎の「ま」という宿泊客が泊まっていることになっており、スタッフが部屋を確認しに行くと、誰もいないはずの部屋のシーツがぐちゃぐちゃになっていた。
六本木にあるフェティッシュバーでは、怪談イベントを開催する約1ヶ月前のある日、店主のママさんが店で気を失って倒れ、明け方目を覚ました後、その間の記憶を取り戻そうと明細を見たら「23時 松原タニシさん 女性2人と来店」とメモ書きしてあったという。しかしその日、僕は大阪にいた。
この他、出版関係者にも次々と不可解なことが起こる。