文春オンライン

為末大、本田圭佑、スガシカオが炎上……いま、有名人の「コロナツイート」が燃えやすい理由

2020/04/12
note

今度は本田圭佑さんが大変なことに

「政府も全員を救うことは出来ない。優先順位の高いもんを政府が助けて、低いもんを国民同士で助けられるかどうか」

 走る哲学者の炎上翌日、今度は蹴る△ことプロサッカー選手の本田圭佑さんが上記のつぶやきで大変なことになりました。

 医療の世界で患者が軽度か重度かを選別し、治療の優先順位をつけることを「トリアージ」と言うそうですが、非常に雑で危うくかつ恣意的なトリアージを想起させるこのツイート。

ADVERTISEMENT

新天地ボタファゴでのデビュー戦、マスク姿で登場した本田圭佑 ©AFLO

「優生思想か!」と批判され……

 そもそも本田ツイッター自体が名言botテイストの、基本言葉が足りないところにきて「優先順位が高いって誰?」「優生思想か!」などの批判や非難にさらされ、その12時間後に

「当然、優先順位の最上位にくるべきは生活することがままならない人(経済弱者)なわけです」

 と釈明する事態に。しかし

「ただ現実はそこまで政府の対応が行き届くとは思えない。じゃ誰が助けるのか? ずーっと政府に文句言う? 違うでしょう。僕らが1人1人、政府が救えない人を支えられるかでしょう」

 とツイートしたことで、為末さんと全く同じ形で再燃しました。こうなるとその後の

「問われるは、肩書きでも学力でもなく、想像力や適応力などの人間力である」

「美学は文字通り美しいけど、判断を遅らせる致命的な要素でもある」

 などの△語録も虚しく響くだけ。経済的にも、人命的にも「明日生きられるかわからない」人々の心に、強者の放つ「優先順位」という言葉は無軌道に暴れ回りました。そんなところで無回転シュート打たんでください。

彼らの中では「通常営業」なのになぜ……

 この二つのツイートは、決して特異なものではないと思います。その他にも松本人志さんが「水商売のホステスさんが仕事休んだからといって、我々の税金で(補償を)払いたくない」と発言し炎上したり、糸井重里さんがひらがないっぱい使って炎上したりしていましたが、でもそれって彼らの中では通常営業のイメージ。

 為末さんもちょいちょいやらかすものの意識高い系アスリート代表の風格で乗り切っていたし、本田さんに関しても「ああいつもの名言ビッグマウスか」と受け流されていたと思います。二人もいつもの反応を期待してこれらをつぶやいたのでしょうが、そうは取られなかった。思いも寄らない反応が返ってきたのではないでしょうか。炎上後の二人のツイートには、「なんでや!!」という、逆ギレに近い何かを感じるんですよね。