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2020/04/12

え? スガシカオさんのツイートも?

 受け取る側の何かが変わった。それを如実に表しているのが、ミュージシャンであるスガシカオさんのこのツイートではないでしょうか。

「今一番大切なことは、みんなが一人一人どうすべきかを考えて、一致団結してこの危機を乗り越えることだと思うんだ 批判や怒りや疑いじゃなくてさ、不要な外出を控える、自分や家族を守る、他人を思いやる、医療を守る…それしか新型コロナに勝つ方法はない」(その後「言葉足らずでした」と謝罪して削除)

 

スガシカオ ©文藝春秋

 え? なんで炎上するの?と思われる方も多いでしょう。為末本田に比べたら、真正面から批判すべきところのない、ある意味有名人として100点満点のツイートかと思われます。しかし実際には今、これが炎上するのです。それはなぜか。

3.11の「みんなで一丸」はもはや通用しない

 3.11では、このスガシカオさんのようなツイートが主流でした。みんなで一丸となって復興を目指そう、放射能と戦おう。「不謹慎」という言葉も溢れかえったものの、それもまた「一丸」の裏返し。そう、放射能は「仮想敵」として人々を一つにさせましたが、コロナは少し違うのです。人を媒介とするこのウィルスは隣人同士の猜疑心を煽り、「家にいても(経済的に)ビクともしない人」と「働かなければ死んでしまう人」を残酷なまでにあぶり出してしまいました。

 強者とされる有名人からの「家にいろ」は、「ウィルスを拡散しないように」という本来の意味を離れ、「批判するな」「怒るな」は場合によっては「そのまま静かに死ね」と捉えられてしまうかもしれない。2011年型の有名人アクションは、もはや通用しないと考えた方がいいでしょう。