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 すると、予想を裏切らず2面4線のホームの傍らには広大な留置線。駅のホームのすぐ横に車両基地があるパターンはこれまでにはなかったような気もするが、少なくとも糸崎駅が車両基地の駅である点においては他の終着駅の面々と同じであった。そしてその車両基地には、山陽本線の岡山エリアを走る国鉄時代からの大ベテラン115系と、広島の新エース・227系Red Wingが仲良く並んで停まっている。広島と岡山の、鉄道車両における違いをまざまざと見せつけられる糸崎駅である。

糸崎駅、2面4線のホーム
岡山エリアを走る大ベテラン115系(右)と広島の新エース・227系Red Wing

なぜ貨物列車のコンテナがある?

「車両の運用は基本的にここで分かれているので、227系は糸崎までしか来ないんですよね。でも、一応1日3往復だけ福山までは走っているんですよ」

 そう言いながら出迎えてくれたのは、JR西日本岡山支社の藤井彰二さんと福山列車区長の懸田剛一さん。今までの終着駅の旅はひとりで勝手に訪問していたが、今回はなんとJR西日本の方々のエスコート付きなのだ。ありがたいような、申し訳ないような……。

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JR西日本の福山列車区、糸崎派出

「かつては機関区として車両基地の機能も持っていましたが、今は留置線としての役割だけになっているんですよ。駅前はあとにまわして、まずは留置線のほうから見ていただきましょうか」

 懸田区長に案内されながら、駅舎とは反対側に向かって留置線を何本もまたいで歩いていく。115系と227系が仲良さそうに佇む横を。その先には貨物列車のコンテナがいくつも並んでいる。おや、ここには貨物列車も来るのか。

線路の横には貨物列車のコンテナが積んである

「いや、今はオフレールステーションになっていて列車での貨物の取り扱いはないそうですね。旅客列車の拠点としては岡山エリアと広島エリアの境界で大きな役割を持っていますが、まあ実際には車両留置としての機能があるくらいです。昔は糸崎機関区と言っていましたが、今では福山列車区の糸崎派出。車両留置以外では、乗務員の休憩所として使っています。車両と同じで、乗務員も糸崎・三原を跨いで乗務することはありませんからね」

 確かに、ホームの横の車両留置スペース、広々とはしているものの雑草が生えていてとてもじゃないが使えなそうな線路もあるくらいだし、停まっている車両も少なくてどこか淋しげ。留置線をすべてまたぎ終わった先には立派な建物もあるが、職員で賑わっているわけでもなく、無人であった。

広々とした車両留置スペース。雑草が生えている線路も

鉄道の街“糸崎黄金時代”とは?

「昔の話ばかりになりますが、ここは機関区としての機能と乗務員の基地としての機能の2つがあったんですね。山陽本線が電化されるまではここで蒸気機関車の付替もやっていたようで、古い写真を見ると転車台も給水塔もあって、そうとう賑やかだったことがわかります」