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鉄道と志村けん、その縁は映画『鉄道員(ぽっぽや)』だけではなかった

故郷と被災地への思い、そして映画俳優

2020/04/22
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 新型コロナウイルスによる肺炎で志村けんが亡くなった。「コントの神様」と呼ばれた志村けんの名作や功績は数多く語られている。ここでは鉄道と志村けんの縁を3つ挙げたい。西武鉄道の東村山駅、三陸鉄道の吉浜駅、JR北海道の幾寅駅だ。

コントの神様と呼ばれた志村けんさん ©︎文藝春秋

駅前には「志村けんの木」がある

東村山駅前の「志村けんの木」の下に設置された献花台 ©︎文藝春秋

 西武鉄道新宿線・国分寺線・西武園線の東村山駅は、志村けんの出身地、東村山市の中心だ。志村けんが生まれた1950年当時は東村山町だった。東村山町は1964年に市へ昇格する。それを記念して作られた歌が「東村山音頭」である。これが志村けんが流行らせた歌の原曲で、三橋美智也・下谷二三子の歌唱だった。のちに志村けんのアレンジ版が大ヒットすることは、もはや説明不要だろう。

 東村山駅前には「志村けんの木」がある。志村けんは1976年に東村山市の知名度を高めたとして市から感謝状が贈られ、志村けんの活躍を願って植樹されたという。1995年の東村山駅開業イベントでは、志村けんが司会を引き受けた。2015年に東村山市は市制50周年を迎え、志村けんの木に看板が設置された。この題字は志村けんの直筆である。

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音楽プロデューサーUZAが発車メロディをアレンジ

 市制50周年を記念して、2014年12月から2016年3月まで、東村山駅の発車メロディが東村山音頭になった。下りプラットホームがイントロ、上りプラットホームが歌い出しパートだ。この発車メロディは駅の立体交差工事と、特急停車によるプラットホームの運用見直しのため使用を終了した。

 発車メロディの音源は東村山市の公式サイトで公開されている。アレンジは同市在住の音楽プロデューサーUZAで、AKB48や鈴木雅之の楽曲や「テニスの王子様」のテーマ曲を手がけている。聴いてみたところ、どちらも原曲と志村けんバージョンに共通したパートだ。東村山市民にも、志村けんファンにも懐かしい。発車メロディとしての復活を期待したい。