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 6代目山口組や神戸山口組は分裂抗争の結果、今年1月に「特定抗争指定暴力団」に指定され、兵庫や大阪など6府県の10市の「警戒区域」内で組員が5人以上で集合することが禁じられている。このため今年に入って、本拠地の兵庫などで意思疎通を図って組織をまとめる場を持てない状況が続いていたが、3月以降はコロナの影響で、警戒区域にかかわらず大半の会合が中止されることとなった。コロナ禍が組織弱体化に追い打ちを掛けているのだ。

「組内では先日、組員本人のほか家族や子どもが感染した場合でも、各地域ブロックの幹部に報告するように通達があった。感染拡大を食い止めるために、組織内の感染状況を事前に知っておこうということだろう」(前出・6代目山口組系幹部)

「志村けんが暴力団の意識を変えた」

 いまや新型コロナウイルスに対して、暴力団員の意識も変化してきている。

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「コロナ騒動が大きくなる前は、夜の街が寂しいからあえてカネを落としてあげるために積極的に飲みに出かけていた。しかし、今の状況になってしまっては、命に係わることになるため外出は控えている」

 そう語るのは、東京都内を拠点に活動している住吉会系幹部だ。

「コロナに対しての意識が大きく変わったきっかけは、(タレントの)志村けんが亡くなったことだ。これは大きかった。この業界だけでなく、日本国民全体が志村けんの死亡をきっかけに重大さが分かったのではないか。今はステイ・ホームだ」

閑散とする夜の銀座。暴力団の「みかじめ料」も激減している(写真はイメージ) ©時事通信社

 一方、6代目山口組系幹部は「コロナが危険だから、飲み歩くなという指示などは全くない。そもそも、『飲み歩くな』と言われたところで、ヤクザは一般的に『はい、分かりました』と聞き分けのよい連中ではない」と解説するが、前出の住吉会系幹部同様、感染拡大の影響が日々大きくなり、夜の街に出かけることはなくなったという。

 コロナ禍は、暴力団のシノギの現場にも大きな影響を与えている。

 いま暴力団業界で問題になっているのは、スナックにしてもクラブにしても店が開いていないため、大きなシノギとなっている繁華街の飲食店からの「みかじめ料」が全く入らなくなっていることだという。

 緊急事態宣言以降は、居酒屋、スナックなどは営業自粛が要請されアルコールの提供は午後7時まで、8時で閉店が求められている。

 前出の指定暴力団幹部は、ある地域で行われている“闇営業”の新しい形について打ち明ける。

「東京都内でも、クラブやスナックなど深夜になるまでこっそりと営業している店はある。だいたい、店の女の子が常連の旦那さんたちに『ご飯を食べに行こうよ』と連絡を取って誘い出し店に引き込む。当然、店は看板の灯りなどは消し、入り口には閉店の札を下げる。客の方も『若い女の子がいる店に飲みに行きたいな』とストレスが溜まっているから渡りに船という訳だ」