さらに、この“闇営業”には次のような裏があった。
「誘い込んだ女の子には、飲み代の半分がキャッシュバックされる『システム』になっている。これはすでにシステム化されている。例えば、店で客が5万円を使う。女の子の取り分は2万5000円。店としては売上ゼロのところ、少しでも入るのであればありがたいのだろう。しかも、こっそりとお忍びのように客が来てくれるんだから。女の子にしても収入が途絶えてしまうから、何とか稼ごうということで双方よろしいようになっている。賢く動くヤツはうまくやる」
法律に罰則が規定されている訳ではないが、自粛疲れから人目を忍ぶと楽しさは倍増するということか。店の売り上げが順調に伸びれば、自然と暴力団のシノギになる可能性もある。
この幹部は「アメリカの禁酒法時代までとは言わないが、アングラで儲ける方法は次々と出てくるものだ」と指摘する。コロナ禍が長期化するなかで、夜の街でも新たなビジネスが生まれ、さらにシステム化も進んでいる。
「今のシノギはマスク」
品薄が続くマスクにも、暴力団員の動きが影を落としている。
いまや医療機関でさえマスクが不足して社会問題化しているが、前出の山口組系幹部は、「だからこそ、今は良いシノギとなっている」と明かす。
「先日もマスク50枚入りを40ケース、計2000枚を売ったところだ。仕入れは1枚につき税込みで50円。これを1枚100~200円で売った。マスクはどこの店に行っても長期間、品切れ状態が続いているが、あるところには在庫がしっかりある。自分はマスクを100万枚以上、確保しているところで買い付けている。さすがに、全て買い取るほど持ち合わせがないから全てという訳にはいかないが……。とりあえず、可能な範囲で手に入れる」
さらに、マスク転売禁止の規制は効果がないという。
「マスクを欲しいという人は、1枚2000円でも3000円でも出す。ネットで転売は禁じられているが、手渡しで売れば、どうにも規制は出来ない。どんな状況になろうとも、商売のルートを確保しておくことがカギ。コロナの感染拡大が始まった当初は、もっと大量にマスクを仕入れていた連中がいた。こいつらはすでにかなり儲けたはず。自分もマスクは儲かるのではないかと思っていたが、ここまで騒動が大きくなるとは考えていなかった」