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花見は全滅「花火大会もダメだろう」

 全国に広がった「緊急事態宣言」だが、その効力は行楽シーズンのゴールデンウィーク最終日、5月6日までとされている。観光地でのシノギも危機的な状況だ。

 東京都内で長年にわたり祭りやイベント会場などで飲食を提供する屋台を出す「テキヤ」稼業をしている暴力団幹部が嘆く。

「花見シーズンはまったくダメだった。全滅と言ってもいい。都内では上野公園周辺や靖国神社など花見の名所では大きな商売ができるはずだった。大田区の洗足池周辺も多くの客が訪れる。しかし、今年は花見ができる場所が封鎖され、『花見自体をするな』ということになったから、お客さんが全くいない。この春だけで数百万円から1000万円の実入りがなくなった」

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 テキヤ業界では、イベント会場で1軒の屋台を出すことを「1本」という用語で数えるという。東京都内に限らず、テキヤ稼業は地域ごとに「庭場」と呼ばれる縄張りを管理している地元の暴力団がいて、地域の顔役たる組織の代表者に「今年は5本出させてくれ」と申し出ることから商売が始まるという。この際に、「(地元の)ウチは今年、焼きそばとかき氷の店を出すから、これ以外の商売の店にしてくれ」などといった調整がなされ、円満に商売が成立するという。

「屋台の出店料にあたるショバ代(場所代)は地域によるが、1日につき5000円だったり、1万円の場合もあったりでさまざま。屋台は1軒につき若い衆2~3人にやらせる。たこ焼きでもカステラ菓子でも、材料をうまく調合すればお客さんが付いてくれてかなり儲かる。稼ぐには技術が必要だ」(同前)

夏の花火大会は次々に中止が決定している(写真はイメージ) ©iStock.com

 しかし、この先も見通しは暗いという。

「コロナが終われば、夏の花火大会が大きな稼ぎになるはずだった。花火大会は関東各地、そこら中であるし、東京では特に隅田川花火大会が大きな儲けになる。一日だけだが、昼から場所取りの客が多く集まり、食べたり飲んだり。しかし、ついに中止が発表されてしまった。いまは若い衆もヒマでしょうがない」

 コロナ禍がどこまで暴力団業界に影響を及ぼすのか。まだ先は見通せない。