超マニアックな旅のノウハウ対談、最終回。今回のテーマは「現地編」。無事に旅の準備もした、移動して目的地についた、じゃあどうすればこの旅をエンジョイしきれるの……? 街歩きからグルメ、ホテルでの行動まで、「そこまでやるか!」のオンパレード。ホテル評論家・瀧澤信秋氏と、トラベルジャーナリスト・橋賀秀紀氏の冴えわたる舌鋒を、最後までお楽しみあれ!(準備編、出発編より続く)
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橋賀 この対談もいよいよ最終回、「現地編」となります。準備編の冒頭で瀧澤さんは現地の観光にはまったく興味がないとおっしゃっていたんですが(笑)、私はここにかなりこだわりがあります。そこでアドバイスしたいのは「(11)地図を見るだけではなく、日の出と日の入りの時間も調べろ」です。太くまっすぐの道と細く曲がった道だったら、後者の方が面白いだろう、といったことは、地図で算段をつけられるんですね。もちろんこれはケースバイケースですから、いわゆる大通りの方が賑やかで面白いということもあるんですが。
そして光の具合、“順光”(カメラ用語で自分の背後から被写体に当たる光)かどうかによっても、景色が違ってきます。道の右側を歩いたほうがいいのか左側を歩いたほうがいいのか、行きと帰りではどうか、いろいろと考えることはあるんですよ。
瀧澤 僕は観光には興味がないですが、ホテル周りのグルメには興味があるんですよ。最近は、アウェイな場所にひとりで行ったときに、楽しめるお店を探すようにしています。いわゆる“孤独のグルメ”ですね(笑)。地元の人に愛される美味しい店を探したいわけで、そうするとチェーン店ではないし、かといって寿司屋だと高いし、場合によってはよそ者だとボラれることだってある。そうしたときにヒントにしてほしいのが、「(12)繁華街の“超えてはいけない一線”上に美味しいお店がたくさんある」ということです。
橋賀 “超えてはいけない一線”ですか?
瀧澤 はい。まず僕は、ホテルにチェックインした後、昼間に繁華街を散歩するんですよ。そうすると、ここまでは表通りだけど、あっちに行くとちょっと怪しい店ばっかりあるな……という一線があるんですよ。そしてその“一線”の上に、美味しい店が並んでいることが多いんです。なぜなんでしょうね、おそらく表通りに面したところは家賃も高いからチェーン系や大資本しか店が出せず、いかがわしいエリアの近くは土地が安くて、地元の独立した人たちが店を出しやすい、ということもあるんでしょうか。
橋賀 これはいいことを聞きました(笑)。
瀧澤 美味しいお店にかんしては、ホテルのスタッフに聞くことはおすすめしません。だいたいは安全なフツーの、あるいはホテルと関係のあるお店ばかり伝えてきますから。僕が“超えてはいけない一線”上の○○という店に行ってきたというと、たいていホテルの人は「え、あんなところに行ってきたんですか?」とビックリしますね(笑)。