予約時には携帯ではなく自宅の番号を伝える
橋賀 僕は良さそうだなと思った店に入ったとき、うまくコミュニケーションをとろうとして心がけていることは、「(13)遠くから来たことを明かせ」です。お互い何も情報がないときは、自分が何者か伝えたほうがいい。感度のいい店はやはり、こちらが投げかけたボールに対して投げ返してくれる。また、遠くから来たということだけで歓迎されることは多くなります。
瀧澤 僕もお店に予約の電話を入れるときは、あえて家の電話番号を伝えることもあります。わざわざ東京から来た感じを出すために。「03……」というだけで、東京だと思ってもらえるじゃないですか(笑)。結局携帯へ転送しているんですが。ただし寿司屋でこれをやると、一見と思われて会計が高くなることがあるのでオススメはしませんが。
橋賀 それはいい手段かもしれませんね。店探しということでいえば、「一生懸命営業中」と札の掲げてあるような店は、たいていダメですね(笑)。
瀧澤 「心を込めて準備中」もたいがいですよね(笑)。
橋賀 ホテルの部屋では何かノウハウはありますか?
瀧澤 これは裏技も裏技かもしれませんが、「(14)チェーン系ホテルに泊まる時は、チェックアウトをギリギリまで待って清掃の様子を見ろ」ですね。
橋賀 清掃の様子ですか!?(笑)
瀧澤 はい、これは次回そのチェーンを使うかどうかの重要な指標になるんですよ。というのも、ホテル業界はいま人材不足なんです。逆にホテルから清掃業者へのオファーが殺到しているので、業者が値段を釣り上げているような状況なんですね。となると、当然、掃除のクオリティは下がってしまうことだってある。そのあたりを、チェックアウト間近に確認するんです(笑)。一番強いのが、清掃会社を自分で持っていたり、清掃員の人を自社で雇用をしたりしているところですね。こういうホテルの清掃は、それはもう徹底していますよ。
橋賀 最後に、これは「準備編」からずっと重要なことかもしれませんが、「(15)同行者がいるときは“情報”を共有しよう」です。何も説明せずに家族や同行者と同意がとれるとは限りませんし、お子さんがいらっしゃるならなおさらでしょう。たとえば、安いチケットがとれたからいきなりここに行く、といった場合でも、その先の土地で興味をもってくれそうな情報をきちんと伝えてください。私はCiNiiとかGoogle Scholarといった、学者さんの論文が検索できるサイトで、その土地の情報を集めますよ。
瀧澤 それもまたマニアックですね……!(笑)
構成/宮田文久
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瀧澤信秋(たきざわのぶあき)/ホテル評論家として利用者目線でホテルのサービス、ホスピタリティなどを精力的に取材。主な著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)など
橋賀秀紀(はしが ひでき)/トラべルジャーナリスト。筑波学院大学非常勤講師。東京都生まれ。著書は『エアライン戦争』(宝島社)など。海外渡航暦は200回以上。
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《ノウハウまとめ》
▽準備編
(1)毎日チケットサイトを見よう
(2)煩悩を捨て去れ
(3)空港近くに一泊してホテルのパーキングを使え
(4)ホテルの予約は当日でもいい
(5)新幹線の切符に注目せよ
▽出発編
(6)飛行機の搭乗時は行列に並ぶな、到着時もすぐに席を立つな
(7)飛行機のチェックインはギリギリでもいい
(8)旅行をめぐる常識を疑え
(9)空港からホテル直行のリムジンバスはルートを考えて乗れ
(10)ルームチェンジは遠慮するな
▽現地編
(11)地図を見るだけではなく、日の出と日の入りの時間も調べろ
(12)繁華街の“超えてはいけない一線”上に美味しいお店がたくさんある
(13)遠くから来たことを明かせ
(14)チェーン系ホテルに泊まる時は、チェックアウトをギリギリまで待って清掃の様子を見ろ
(15)同行者がいるときは“情報”を共有しよう