北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が重篤な病状にあるとの情報が世界をかけめぐっている。

 そんな中、金ファミリーの暗部を知る人物が口を開いた。

秘密資金管理機関「朝鮮労働党39号室」の元幹部

 李正浩(リ・ジョンホ)(62)氏は、金日成主席や金正日総書記の時代から現在の金正恩政権まで3代にわたって約30年間、高位幹部として務めた。金一族直属の秘密資金管理機関「朝鮮労働党39号室」の幹部を務めたほか、日本にマツタケなどを輸出する「朝鮮大興貿易会社」総社長も務め、金正日から「首相より仕事ができる」と絶賛されたほどの功績をもつ。

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李正浩氏 ©朴承珉

 ところが李氏は、金正恩の叔父である張成沢氏ら多くの幹部が残忍な方法で処刑されたことに衝撃を受け、韓国に亡命した。現在は米ワシントンDCで、米政府の諮問役を務める。 

 今回、李氏は4時間にわたるインタビューに応じ、韓国からの巨額の秘密資金の驚くべき使途について明かした。

韓国から提供された39億ドル

「私は核専門家ではありませんが、北朝鮮は推定で60~70発の核爆弾を持っているはずです。開発速度は年々速くなっており、おそらく今年中には100発ほど持つのではとみています。

 その核開発に決定的な役割を果たしたのは、皮肉なことに韓国から提供された秘密資金でした」

高射銃で惨殺されたナンバー2の張成沢

 李氏によると、大飢饉に見舞われた1990年代後半の「苦難の行軍」の時、北朝鮮では軍の車両をただの1台も動かすことができず、軍需工場もすべて閉鎖されるという悲惨な状態だったという。

 ところが――。