新型コロナウイルス感染拡大の防止策として不要な外出を控えるにあたり、欠かせない存在となった宅配便。配達員は新型コロナウイルスが蔓延しようと自宅に生活必需品を届けてくれ華麗に走り去っていく。1日にまわる宅配先は200件にも上るという。「文春オンライン」特集班は、都内の宅配現場で働く複数人の配達員に現場の苦悩を聞いた。

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 取材は電話取材と街頭取材をおこなったが、路上ではマスクをつけ距離をとり話を聞いている。

「置き配」は浸透したが......

「新型コロナウイルスの影響で仕事は忙しくなりましたか?」

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 この記者の問いに配達員からはまったくバラバラな回答が返ってきた。

「以前に比べると配達量は2倍、午前中がピークで配る数は増えたが在宅の人が増えて受け取ってもらえる確率も増えた。時間を指定しておきながら不在で、再配達を何度もして手間がかかる人が減った。僕は下請けなので1箱いくらの歩合制だから受け取ってもらえないとお金にならないので今のほうが仕事はやりやすい。コロナは怖いけど」(20代男性・下請け宅配業者配達員)

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「“置き配”のシステムができて、今までよりもスムーズに配れるようになった。ただ、マンションなどはオートロックだったり、表札がない家が多く、結局電話をかけたり、インターホンで確認する。送り先は住所の枝番号やマンションの部屋番号が書いてないと苦戦するから書いてほしい」(20代女性・大手宅配業者配達員)

 受取人と宅配業者の接触を避けるために、届け物を玄関先に置く「置き配」は今回の新型コロナ感染の拡大を機に浸透した。だが一方で、誤配送や防犯面への不安の声もあるという。

「うちでは、トラブル対策のために置き配の際に写真を撮ることが決まりになっています。ウイルス対策としては会社からマスクが支給されるのと、手をとにかくゴシゴシこまめに洗うくらい。エリアで1人でも感染者が出ると、仕分けの人とかドライバーも皆、濃厚接触者となって営業所が止まっちゃうから」(30代男性・外資系宅配業者配達員)

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