「荷物自体にウイルスが付いている。持って帰ってくれ」
「管轄外のことで叱られることが増えました。お客様から『政府のマスクはいつ届くの?』と質問されて、『こちらではそういった入荷情報や出荷の手続きはしておりません』と答えるのですが、『なによ、使えないわね!』といった感じで。高齢の方が多いです。あと、封筒を気にする人も多く、『紙で感染するの?』と質問されたこともありました。そういった質問にはすべて『管轄外ですので』としか答えられませんが」(30代男性・下請け宅配業者配達員)
「宅配に行った際に『コロナになるから荷物を受け取りたくない、キャンセルしたい』と言われました。やむを得ず、『玄関先に荷物を置く形にしますか?』と尋ねたら、『荷物自体にウイルスが付いている可能性がある。申し訳ないが持って帰ってくれ』と追い返されました。気持ちは分かるんですが、先にキャンセルの連絡をしてくれと言いたかったですね」(20代男性・大手宅配業者配達員)
子供たちにまで病原菌扱いされて
冷たい言葉を発するのは客だけではない。年頃の娘を持つ中年配達員は肩を落とす。
「うちは妻、娘2人(15歳、13歳)の4人家族。私は子供たちに避けられて病原菌扱いされて口も利いてもらえません。妻も困惑しています。家に帰ったら手洗いとうがいは念入りにしているのですが、思春期の子は本当に難しい」(50代男性・大手宅配業者配達員)
このコロナ禍の巣ごもり社会を支えている宅配業者。彼らが直面している現実を我々はもう少し理解する必要があるだろう。
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