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小和田雅子さんだった頃のワンシーン

 それが令和になり、変わった。お二人のお気持ちが外に向いているからこそ、咲貴ちゃんのことが報じられた。宮内庁とメディアの関係もよくなっているのだろう。元新聞記者の一人としてそう思い、晴れやかな気持ちになったのだ。

 そして最後にもう一つだけ、少し昔の雅子さまのことを書きたい。それは雅子さまが雅子さまになる前、小和田雅子さんだった頃の話だ。

 皇太子さま(当時)からのプロポーズを受けると決めた時のことを、ご両親である小和田恆さんと優美子さんが「文藝春秋」(1993年3月号)で明かしていたのだ。

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外務省の前で、小和田恆さんと小和田雅子さん(当時)

 恆さんは、「親子の話し合いの中で雰囲気的なものとしては感じとっておりましたが、具体的には、雅子が『自分で殿下に直接お返事するつもり』だという形で私どもに申しました」と語っていた。そして優美子さんが、こう続けた。

「『どういう風に申し上げるの?』と訊ねましたら、『それは秘密』と。ニコニコしながら『それは秘密』と申しましたから、これはお受けするという返事をしたいという意味だと分かりました」

 恋する雅子さんのワンシーン。こちらまでうれしくなるような、このエピソードを令和になって思い出したのは、「ニコニコ」にあった。令和になり、雅子さまの笑顔を見ることが格段に増えた。「ねばならぬ」から笑っているのでなく、心から笑っているように感じる。

母の小和田優美子さんと 宮内庁提供

 そして今、改めて思う。雅子さまにはプロポーズを受けた時から、変わらぬ陛下への「愛」がある。だから病とも闘っていけた。皇后になり、今も陛下とたくさん会話をしている。リハビリをがんばる女の子にも、心からの励ましを伝えられる。

 雅子さまの陛下への愛は、陛下の雅子さまへの愛があってこそ。愛は大切。新型コロナウイルスと闘う今の日本に、そして世界に、とてもとても大切。そんなことを思っている。