即位を祝う一般参賀(5月4日)に14万1130人、祝賀御列の儀(11月10日)に11万9000人。そんなにも多くの人が集まったのが、ほんの1年、半年前だったなんて。雅子さまの笑顔を一目見ようと大勢の人々が集まっていた日々が、遠い昔のように思える。

「祝賀御列の儀」に臨まれる天皇皇后両陛下 ©︎JMPA

 陛下と雅子さまの日常も、赤坂御所での巣ごもり状態になっている。新型コロナウイルスのせいで、直接に国民と触れ合うことができない。だからこそ、お二人に期待をしたい。新しい形での存在感を拝見する日は遠くない、と。だってお二人のスタイルは、この1年で確かに見えてきたのだから。

 そんなことを思いながら、お二人の1年を振り返る。雅子さまのベストショットはなんだっただろうと考えた時、浮かんできたのは祝賀御列の儀だった。フリルのドレスをお召しになり、ティアラがキラキラと輝いていた。沿道の人々に手を振りながら、涙をぬぐわれた雅子さま。が、マイベストショットはこのシーンではない。

ADVERTISEMENT

お二人を乗せた車が止まった、雅子さまの後ろ姿

 30分ほどのパレードは、お住まいの赤坂御所で終わった。テレビ中継を見ていたが、お二人を乗せた車が止まってからは、後方からの映像になった。その時の雅子さまの後ろ姿。それが私の一押しだ。

 赤坂御所の車寄せに、お二人は5分ほどいらしたろうか。すぐには車から降りず、皇宮警察音楽隊による行進曲「令和」の演奏が終わるまで、車内にとどまられた。お顔は映らず、車の背もたれの向こうにお二人の後ろ姿があった。と、そこから、目が釘付けになった。

©JMPA

 均衡を打ち破るかのように、雅子さまが陛下の方に体を寄せられたのだ。大袈裟でなくそう感じたのは、雅子さまからのアクションだったことが大きい。こういう時の皇后は、じっとされているもの。そういう私の中の思い込みが、覆された。しかもググッという感じの大きな動きだったことも、何だか新鮮だった。

 陛下はすぐ、雅子さまの方に顔を向けられ、雅子さまは何度かうなずきながら、元の体勢に戻られた。雅子さまは、陛下に何かお話をされたかった。近くの音に負けず声を届けるために陛下に近づき、お答えに納得された。だからうなずきつつ、元に戻った。あれは完全に「ああ、そうね、そうよね」のうなずきだなー。

 などと勝手に想像していたら、また雅子さまが陛下の方へ。すぐに陛下が反応され、またも雅子さまは元の体勢に。それからも「令和」は続き、雅子さまからの一連の動きがもう一度。そこで演奏が終盤に入り、お二人は降車。

©︎JMPA

 すごくハッピーで、あたたかなシーンだった。お二人は仲良しなんだ。失礼な言葉遣いになるかもしれないが、そう思った。一口に仲良しと言っても、いろいろな形がある。お二人は、たくさん会話を交わされる。ご夫婦であると同時に、任務を共に遂行する同僚。そんな仲良しだ。