志村けんさんが、新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなってから1カ月が経つ。テレビ各局は「志村けんさん追悼特別番組 46年間笑いをありがとう」(フジテレビ系/21.9%)、「天才!志村どうぶつ園」の特別編「大好きな志村園長SP」(日本テレビ系/27.3%)をはじめ追悼番組を放送した。今後も『となりのシムラ』(NHK、5月6日)などのアンコール放送や追悼番組が予定され、多くの人が在りし日の姿を偲んでいる。
さらに4月18日から、YouTubeで『志村けんのだいじょうぶだぁ』の無料公開が始まり、約40時間で300万回以上再生されたという。東村山在住のライター・平田裕介さんが、あらためて志村さんの魅力を綴る。
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『志村けんのだいじょうぶだぁ』のコントは全て神回
1日に何度かはフッと顔が浮かんでくるし、そのたびにジワ~ッと涙が出てくる。いまだに体が引きちぎられたような、自分のどこかが死んでしまった感覚から抜け出すことができずにいる。志村けんがいなくなってしまった世界が、どうしても信じられないというか、信じたくないのだ。
そんななか、4月18日からYouTubeで『志村けんのだいじょうぶだぁ』再編集版の配信がスタートした。
現時点(4月28日)で4本が公開され、全10本の予定で順次配信されているわけだが、これらを見るとやっぱり笑ってしまうし、いろいろと思い出されるし、無性に泣けてしまうのだ。
志村けん、キレッキレの黄金期
いずれの動画もオープニングは、幼児向け番組のお兄さん、お姉さんに扮した志村といしのようこに呼ばれて集まったレギュラー陣が「♪パイのパイのパーイ♪チンチロリーン♪」と歌う「パイのパイのパイ体操」。エンディングは、これまたレギュラー陣が集まってさまざまな扮装で踊る「ウンジャラゲ」(オリジナルはハナ肇とクレージーキャッツの同名曲)。このふたつの間に志村の婆さんがボケまくって田代まさしの爺さんがツッコミを入れまくる「ご存知!じいさんばあさん」や「変なおじさん」といったお馴染みのコントが挟み込まれた体裁になっている。取り立ててベスト版と銘打たれているわけではないが、そのコントはどれもこれも“神回”と呼んでいいものばかり。
とにかく志村がキレッキレなのである。M字型ハゲ+ポニーテールという頭髪の状態から察するに、配信されているのは番組初期、30代後半~40代前半の頃のものだろう。『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』でもブッ飛ばしていた、まさに脂が乗り切っていた第2の黄金期。それゆえに「変なおじさん」における“変な舞”は実にたおやかで、「デシ男」でことあるごとに言い放つ“デシッ”もこちらの耳にズバッと入ってくるし、「ひとみばあさん」のワナワナぶりも力が漲っている。
また、「変なおじさん」は顔のイラストがプリントされたピンクのラクダシャツといういでたちではなく普通にスーツ姿だったり(#1、4月18日配信)、デシ男は“デシッ”以外の言葉が多めだったりと(#2、4月21日配信)、初期ゆえの差異が拝めるのもポイント。