新型コロナウイルスによるステイホーム週間の影響もあってか、このところ、各社のサイトで、往年の人気漫画の全話無料キャンペーンが行われている。『三国志』(横山光輝)や『ONE PIECE』(尾田栄一郎)など、老若男女が注目するタイトルも色々あったが、私・ひらりさのように、少女漫画雑誌で育ちアラサーになった女たちが沸き立っているのが、白泉社「マンガPark」が次々に繰り出してきた、懐かしの女性向け漫画作品のラインナップだ。
「白泉社と私」 ひときわ愛おしく思い出した作品
『動物のお医者さん』『ぼくの地球を守って』『彼氏彼女の事情』『赤ちゃんと僕』『天使禁猟区』『紅茶王子』――。
どれも、雑誌「花とゆめ」「LaLa」に1990~2000年代掲載され、少女たちの心を躍らせた大傑作たちだ。ものによっては時代性を感じるツッコミどころを持ちつつも、大人になった私たちの心にも染み入る感情描写とエンターテイメント性を持っていて、10代の自分がいかに、毎号の雑誌、単行本の発売に焦がれていたかをまざまざと思い出させてくれた。塾の授業後、『天禁』最終巻を一刻も早く手に入れたい私のため、駅からちょっと離れた文教堂書店まで自動車を飛ばしてくれたお母さん、本当にありがとう……。
少年漫画や青年漫画に比べれば控えめであるものの、人気作品の巻数はそれなりにあり、ぶっとおしで読み続けても、絶妙に設定された無料期間に全巻読み終えるのは至難の業だ。また「これを読んだらあれのことも思い出して読みたくなっちゃったな~」という連想ゲームも発生し、結局、ゴールデンウィーク中に、往年の花とゆめコミックスをKindleで何万円も買い込んでしまう事態となった。
さて、そんな全話無料ラッシュでみんなが思い思いの「白泉社と私」を語るなか、私自身がひときわ愛おしく思い出した作品がある。
それは『桜蘭高校ホスト部(クラブ)』(葉鳥ビスコ)だ。
2002~2010年まで「LaLa」で掲載された、先ほどあげた全話無料ラインナップの作品よりも、やや時代をくだった作品である。全18巻となる単行本の累計発行部数は1200万部をこえ、様々なメディアミックスもされていたので、「文春オンライン」読者の中でもご存知の方もいるかもしれない。
舞台は、上流の令嬢子息ばかりが通う超お金持ち高校・私立桜蘭学院。その中でも選ばれし美麗男子たちが所属し、学園のお嬢様たちをもてなす「ホスト部(ぶ)」に、うっかり割ってしまった花瓶(800万円)の弁償をするため、貧乏庶民の特待生・藤岡ハルヒ(実は女)が入部する羽目になるところから始まるドタバタラブコメディだ。