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「ワクチンができるまでに最大18カ月」の信ぴょう性は?

――今、BCGワクチンとは別に、新型コロナのワクチンが世界中で開発されていますよね。 

 100カ所以上でやっていると思います。 

――例えばWHOは、2月時点で「ワクチンができるまでに最大18カ月かかる」と述べています。こういった数字にはどの程度裏付けがあるのですか。 

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 根拠は薄いでしょう。 「今までのワクチン開発に平均的にかかった期間を圧縮すると18カ月に抑えられる」という発想なんですが、実際に有効なワクチンができる保証はどこにもない。 

――やってみないと分からないんですね。 

峰 その通りです。研究開発は、ワクチンを打つと実際に抗体ができるのか、ワクチンの成分が安全か、有効かということを証明していくしかないんですね。全部の工程が最速で上手くいく保証はなく、どこかで引っかかることも、全くワクチンなんかできない可能性さえもあります。エイズのワクチンなどは、40年開発してまだできていないわけで。 

エイズのワクチンの研究をする研究者 ©Chris Hondros/Getty Images

 危惧しているのは、ワクチンを開発している研究者の中にも、積極的過ぎるように見える人がいることです。 

「一刻も早くワクチンを」という声を危惧する理由

――詳しく教えていただけますか。 

 ワクチンは確かに素晴らしいものです。しかし誤った使い方をすれば害も生みます。だから、日本やアメリカでも研究成果を積み重ね、規制当局が慎重に時間をかけて審査するわけです。 

 ところが新型コロナが急速に感染拡大し、世間の声は「早くワクチンを」の一色になりました。実は研究者もそうなっちゃっている人がいて。たとえば、これまで一度も試されたことがないワクチンを世に出そうとする動きがあります。 

――それは、どういったものなのですか。 

 従来のワクチンには、ウイルスそのものを弱めたり不活性化したりしたものと、タンパク質をきれいに精製して作ったものがあります。これらは確立されたテクノロジーです。 

 ところが、従来とは全く異なる、これまで試されたことも、製品化されたこともないワクチンが開発されています。ウイルスの設計図を人に打ち込むことでワクチンにする、「mRNAワクチン」や「DNAワクチン」です。 

 今回の新型コロナの流行を受けて、副作用(や薬害)が出るかどうかさえまだ分かっていない新テクノロジーを「早く作って承認を受けて世に出そう」という研究者が沢山居るんです。今まで反ワクチン派に対して「安全性に配慮して慎重にやっている」と丁寧に発信してきた人達が、非常に前のめりになっている。 

©iStock.com

ワクチンを啓蒙するようになったきっかけ

――峰先生は、SNS上で積極的にワクチンについての啓蒙をされています。ワクチンの安全性を発信する活動を始められたきっかけは? 

峰 私は「病理医」といって病気の診断を主な仕事とする医者ですから、病気で亡くなった人の解剖を多くするんです。女性の解剖も多くやってきたのですが、子宮頸がんの方がすごく多くて。