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「再びデフレ社会に逆回転しかねない」サントリー・新浪社長が語る“コロナ後の日本経済”

安倍政権の“経済ブレーン”はコロナ危機をどう見る?

「3月4月の歓送迎会シーズンは年末に次ぐ最需要期ですから、本当に大きな痛手です。特に“前出し”と言っていますが、すでに卸店さんに出荷してしまった商品は今後このような状況が続くと、その先で滞り、追加の注文が入りません。社員の働き方も制約を受け、しばらくの間、社員の多くは自宅でのテレワークや時差出勤を余儀なくされています」

 新型コロナウイルスに感染拡大について、そう語るのは、サントリーホールディングスの新浪剛史社長(61)。実際、サントリービールが発表した今年3月のビール系飲料の販売量は前年同月比で25%減と大きく落ち込むなど、同社をはじめ、飲食業界は非常に厳しい状況に直面している。政府は5月4日、緊急事態宣言の延長を発表したが、経済財政諮問会議の民間委員を務めるなど、安倍政権の経済ブレーンとも言われる新浪氏は、この先の日本経済についてどのように見ているのか。

新浪剛史氏 ©文藝春秋

再びデフレ社会に逆回転しかねない

「むしろ最大の問題は、国民の間に不安が広がり、消費の在り方がその不安を反映した形になりつつあるということではないでしょうか」

 どういうことか。新浪氏は食事を例に解説する。

「例えば食事という消費行動の一つを取り上げてみても、大きな変化が見られます。一つは一斉休校によって、お子さんがずっと自宅に居るため、親御さんが例えば冷凍食品のように手軽に調理できる食べ物を求めるようになったこと。もう一つには経済の悪化が予想される中で、より安いものを買って、家で飲んだり食べたりする機会が増えてきたことです。このようにコンシューマービヘイビアー(消費者の行動)が明らかに変化しているのです。

新宿駅の改札前も閑散としている ©AFLO

 その結果どうなるか。過去20年停滞していた経済がせっかくアベノミクスで上向いたのに、再びデフレ社会に逆回転しかねないのです」