1ページ目から読む
3/4ページ目

まず「やる」と決める。そこから方策を考える

 難しい状況にあることは言われるまでもなくわかりますが、私は「本当に開幕させたいと思うなら、早く開幕させましょう」と言いたい。まず「やる」と決める。そこから、具体的な方策を考えていくのです。今まさしく議論になり始めた、9月入学始業の話と同じです。

「やるなら、やる」。強い意志がファンや国民の信頼をかち得るのです。

 今のように、他競技の動向や世論などあらゆる声に耳を傾け、足並みを揃えながら判断しようとする態勢では、いつまで経っても何も決められないのではないでしょうか。

ADVERTISEMENT

第4回「新型コロナウイルス対策連絡会議」を終え、記者会見するNPBの斉藤惇コミッショナー(右端)とJリーグの村井満チェアマン(左端)ら ©時事通信社

 私は専門家ではないので断言はできませんが、この先、新型コロナウイルスが地球から瞬く間に消えることはないだろうと思います。これからも、程度の差こそあれ、常に感染リスクはある。

 野球の試合中のベンチは、まさしく「密」の空間です。一人でも選手に感染者が出たら、たとえ開幕してもすぐに中断になってしまうでしょう。ベンチに入っている選手、スタッフはみなマスクをさせる、という話もありますが、リスクは決してゼロにはならない。「できるか・できないか」を天秤にかけた議論では、どうしたって「できない」に傾かざるを得ません。

 もし「開幕させる」という強い意思が球界にあるのなら、まず、それを明確に打ち出すべきです。もっと「やる! やるから少し待ってろ!」と明確に伝えるべきです。「できない」理由を並べあげるのではなく、「できる」方法を、一見してありえないような手法も含めて、あらゆる具現化のための議論を国民に伝えていけば、やがてはみんなが知恵を出し合う方へと議論が進んでいきます。

 すでに5月に入り、日程の問題は日ごとに切迫しています。本気で開幕させるなら、逆算して、もう動きださなければならない。

 もちろん、難題を突破しなければならないわけですから、一筋縄ではいきません。こういう緊急事態ですから、突拍子もないようなアイディアも排除せず、あらゆる可能性を吟味することが必要です。