ウイルスの存在しない「ベースボール・プラネット構想」
批判を承知で例を挙げれば、「ベースボール・プラネット構想」を検討してはどうでしょうか。感染リスクを徹底的に抑え込んだ特定のエリアを確保し、選手や審判、その家族を含む球界関係者に、ホテル借り上げなどをした上で、長期間にわたって生活してもらう。最初は全員隔離で1カ月程度過ごし、ウイルスの存在しない“プラネット”をつくる。例えば舞浜などは、近隣にホテルも数多くありますし好適地かもしれません。プロ野球に係る感染者ゼロの状態を可能な限り科学的に確認できれば、ベンチの「密」も問題にはなりません。ここまでやれば野球の試合は開催できます。そして、幕張のスタジアムのセントラル開催で、無観客試合を行います。テレビやインターネットの先にいる国民のみなさんに届ける、在宅国民的エンターテイメント。新たなビジネスの始まりです。
極端な案であることはわかっています。すべてプラン通りにできるとも思いません。ただ、実施を前提にした案があってこそ、議論や修正を繰り返しながら、答えに行き着ける。会議室で「できないね」「難しいね」と言っていても、何も始まらないのです。
手を尽くしたけれど「やっぱり開幕はできなかった」という結果になる可能性はあります。あるいは、選手への感染が判明して中止になってしまうかもしれない。「開幕の判断は間違っていた」と言われる事態になるかもしれない。
でも、科学的な根拠に基づいてさえいれば、そして透明性が保たれてさえいれば、その間違いは許容されるべきだと思います。
エラーがタネになり、成長の機会が得られる
今、こんなにも苦労を強いられているのは、ほとんどの国民にとって初めての経験でしょう。誰にも正解がわからない問題なのですから、間違うことはあるのです。しかし、トライしてこそ得られるものは少なくありません。トライにエラーはつきもの。そのエラーがタネとなって、成長の貴重な機会が得られます。苦労したのに成長できなかったとしたら、そんな愚かなことがあるだろうかと私は思います。
間違いが許されない。過度に忖度する。外国の事例や先例を待つ。トップランナーとして科学やデータに基づく迅速な行動や強いコミュニケーションでリーダーシップを発揮しまくるのは危険。そうした意識は日本に蔓延しているように感じます。
結局のところ、リーダーがいないのです。間違いを恐れず、忖度もせず、信念を貫いて先頭に立てるリーダーがいない。
この難局を機に、あらゆる業界で、次世代型のリーダーがあちこちから出てくることを期待しています。