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最後の青波戦士、最後のPL戦士……なぜか我々は“最後の◯◯”に惹かれてしまう

文春野球コラム Cリーグ2020

2020/05/15

 まぁ聞いて欲しい。我々日本人は何故か「最後の◯◯」という響きが大好きな人種のようだ。例えば「最後の新撰組・斎藤一」とか「最後の赤穂浪士・寺坂吉右衛門」とか。あるいは「最後の2サイクル市販車・RMX250S」とか「最後の寝台特急・サンライズ瀬戸・出雲」とか「トキワ荘最後の住人・山内ジョージ」とか。何ならそれが「最後の本ニガリを使用した・普通の豆腐」だろうと、とにかく「最後の◯◯」の響きが大好きで、それが例え何であれ「最後の◯◯」の響きでつい白米をおかわり(≠中村剛也)してしまうのが我々日本人なのだ。

 やや乱暴だが特にこのコラムの読者は、更にその傾向が強いような気がしている。いや、絶対そうだ。きっと淡口憲治さんの事を「最後のV9戦士」と呼んでいたはず。淡口さんは「猛牛戦士」でもあったのに、旧近鉄バファローズのファンだって「最後のV9戦士」と呼んでいたはずだ。やはり我々日本人にとって「最後の◯◯」より上位に来る形容詞など存在しないのだろう。

「最後の青波戦士」と「最後の猛牛戦士」

 断っておくがこのコラム。あくまで文春オンライン上でオリックス・バファローズを応援する趣旨。余りに「ひつこい※方言です」と読者に嫌われて、これが「最後の俺のコラム」になってしまうかもしれない……。ならばそうならないよう、野球コラムらしくオリックス・バファローズに関連する「最後の◯◯」に話を移すとしよう。そうしよう。

 そうなると誰もが真っ先に思いつくのはあまりに偉大なレジェンドで、昨年東京ドームでの引退試合も記憶に新しいイチロー選手ではないだろうか。彼こそは紛れもなく「最後の青波戦士」と言えるだろう。それに「最後の青波戦士」がイチローならきっとブルーウェーブファンは本望も本望、鼻高々な思いなのではないだろうか。今コラムを読んでいるオリックスファンのあなた。そうあなた、すぐに鏡を見てみよう。きっとあなたの鼻がブランドン・ディクソンのようにそそり立っているはずだから。

©文藝春秋

 ではでは旧近鉄の流れを汲む「最後の猛牛戦士」はどうか。こちらは幸いにも未だ3選手が現役選手として戦っている。読売ジャイアンツの岩隈久志投手、それに東京ヤクルトスワローズの坂口智隆選手と近藤一樹投手がそうである。何の縁なのかこの3選手、今では東京の、しかも同一リーグでプレーしているのも何やら興味深い。3選手とも少しでも長く現役生活を続けて貰いたいものだ。大阪の牛が関東の野球ファンの食卓に並んでいるのだ。その上質な味わいで、是非関東の方々の肥えた舌を満たして欲しい。