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文春野球コラム

スワローズ優勝にはIDならぬDQ(ドラクエ)理論が必要だ

文春野球コラム Cリーグ2020

2020/05/19
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 プロ野球開幕延期という事態に陥った、そんな年にスワローズのコラムを書かせていただく事になりました笑福亭べ瓶です。しかも、5月23日に文藝春秋西館地下ホールで「文春落語」に呼んでいただいていたんですがそれもお流れに。我ながらある意味ヒキの強さを実感しながら、目下自宅にこもって野球のない春を寂しく過ごしております。

 僕たち落語家は野球でいうところの一打席、一回一回の高座が勝負。野球は3割で「いいバッター」と言われますが、我々落語家は3割だと即解雇です。しかし、今の私はおそらく3割に近いでしょう。

 ただ、救いなのは自分だけでなく全落語家に打席がない事。良い成績を残していた中ケガで離脱し、テレビで他の選手が打席に立っている試合を悶々とした気持ちで見る、的な事がない分だけまだマシかもしれません。あの三遊亭圓楽師匠が「入門して一番ヒマだよ」と仰っていたそうですから、ここらでもう一発文春砲をお届けしてもいいんじゃないでしょうか(笑)。

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 さてさて、プロ野球はいまだに開幕していません。仕事と野球のない春はこんなにハリがないものかと日々感じておりましたが、世の中というのはえらいもんで、今までの楽しみが一つ減ると新たな楽しみが一つ増える。

 私は一度ハマるととことんハマる性格なので、それにより仕事が手につかなくなるという理由で10年以上やらなかったRPG。しかしその禁を破ったのは「ドラゴンクエストXI」という素晴らしいゲームに出会ったからなんです。

 ゲームをやる方はもちろん、普段ゲームをやらない方でも名前を一度は聞いたことがあるであろう名作「ドラクエ」。もうこれが楽しくて楽しくて! 先日全キャラクターをレベル99にし、あとはラスボスを残すのみという時間の費やしよう。いやぁ、稽古より費やした甲斐がありましたよ。

 なぜか。

 それは、スワローズが今季どう戦えば優勝に近づくことができるのかにこのゲームを通して気付いたからです。

 名付けて、【プロ野球 “ドラクエ理論”】。

「そのままやないかい!」というツッコミは聞かない事にしますが、ここからはその“ドラクエ理論”に沿って話を進めます。

セ・リーグ優勝を果たした2015年のヤクルト ©時事通信社時事通信社

プロ野球“ドラクエ理論”とは?

 旅の目的は魔王を倒す事。これはプロ野球でいうところのパの王者(“王”が率いるあのチームでしょうか……)を倒し日本一を摑むことです。

 そのためにまずキャラクターのレベルを上げていくわけですが、このキャラクターが主人公である勇者、戦士、僧侶、魔法使い、賢者、武道家、盗賊、旅芸人という8人。あと1人いれば完璧だったのですが、製作元のスクウェア・エニックスさんも野球に例えられる事を考えて製作した訳ではないので仕方ありません。

 キャラにはそれぞれ個性があります。

・勇者は万能型でスキがない。
・戦士は物理攻撃力は強いが、行動が遅い。
・僧侶は味方の回復や強化に強いが、攻撃力がない。
・魔法使いは魔法攻撃力は強いが、体力と物理攻撃力が極端に少ない。
・賢者は僧侶と魔法使いの間でバランスは取れているが、そのぶんこれといった特徴がない。
・武道家、盗賊は行動が早く攻撃力も高いが防御が弱い。
・旅芸人は魅力的だが使いどころが少ない。

 この中から4人を選んで戦っていくのですが、魔法攻撃が効かない、物理攻撃が強い、行動が早い等、敵の特徴によってメンバーを代えていきます。

 敵が強くなればなるほど、勇者以外にどんな場面でもパーティーに入ってくるキャラクターがいます。

 それは、僧侶です。

 確かに攻撃力は全くないのですが、味方の回復や防御力を強化する能力がとても優れているため、他のキャラクターが安心して敵の攻撃に専念することができるんです。

 普段の雑魚モンスター相手だと、戦士、武道家、魔法使いといった超攻撃型布陣で短期決戦を乗り切れますが、長期戦となるボス戦となれば別。プロ野球において雑魚モンスターはいない訳ですから、全てがボスと考えると僧侶は絶対に外せません。つまり、防御力が高くないと長期戦には絶対に勝てないのです……。

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