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 食料品や日用品の買い出し、通勤などはもう新型コロナ前とはさほど変わらないが、それでも外食や繁華街での買い物は避けている。まだ閉まっているレストランもあるし、病気に対する恐怖心もあるという。映画館は軒並み閉館していて、いつ再開するかのスケジュールさえ分からないが、「たとえオープンしたとしても、行きたい人はそんなにいないでしょう」

 出社も基本的には解禁されたが、「80%ルールというのがありまして、部署の定員の8割までしか出社できないんです。10人の部署なら8人までといった具合です。だから全員顔を合わせての会議はできない。順番にリモートワークで働いています。それから私の仕事は出張が多かったんですが、今は禁止されています。基本的にビデオ会議でやってますね。クライアントが使ってるツールにあわせて、いろんなWebサービスを使わないといけないのでちょっと面倒ですね」

北京のレストラン、テラス席でランチを楽しむ人々(5月5日撮影)。一部のお店は営業を再開している ©AFLO

北京市外へ出ると14日間の隔離が必要だったが……

 北京市在住の日本人翻訳者、阿井幸作さん(ペンネーム、30代、男性)は「北京は結構ゆるゆるですね」と言いつつも、「でも、なんだかんだまだ怖いです。故宮の参観が再開したそうですけど、ああいう観光地は絶対に行きたくないです」と明かした。街ゆく人もまだマスクは必須。ビニール手袋をつけている人も多い。「地下鉄は怖いのでシェアサイクルの人気がちょっと復活したんですけど、4月下旬ぐらいまでは、乗る前にハンドルやサドルを丁寧に消毒している人をよく見かけました」

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北京のショッピングモール。マスク姿の親子が遊具を楽しむ姿が見られた(5月5日撮影) ©AFLO

 中国政府は2月下旬から経済再開を推進してきたが、感染者が多い湖北省と首都の北京だけは警戒を緩めないようにとも指示していた。そのため北京市外に出ると、戻った後に14日間の隔離が必要になる。「同僚の中国人で3月末にこっそり市外に出た人がいるんですよね。北京市では健康宝というスマホアプリがあって、スマホの基地局との接続記録などのデータから市外に出ていないかがチェックされるんです。見事にばれて14日間の自宅待機となりました。しかも上長に申告なしで市外に出たものだから、処罰されたみたいですよ」。

 ただし、この厳しい規制も4月30日で終了した。中国の各自治体は「重大突発公共衛生事件緊急対応レベル」を制定しているが、北京市は4月30日をもって1級から2級に引き下げた。これで連休に旅行に行ったとしても、戻った後に自宅待機をせずにすむようになった。なお、湖北省も5月2日で2級に引き下げたため、すべての省・直轄市・自治区が2級以下の警戒となっている。「楽しみにしているイベントが6月、上海であるんです。この調子なら参加できるかもと楽しみにしています」

上海では「中3、高3の授業が再開された」

 上海市では3月24日に2級に引き下げられた。復旦大学生命科学学院に勤務する服部素之さんは「その後にちょっと規制がゆるみました」と話す。たとえば宅配や出前。新型肺炎流行後、居住する団地の敷地内に配達員が入ることが禁止されたが、4月頭には解除されたという。「住宅と職場を行き来するだけの生活だと、特に不自由はないです」と話す。