「新しい生活様式」にショックを受けた。そういう方は多いのではないだろうか。

 安倍晋三首相は4日の記者会見で、緊急事態宣言を5月末まで延長することを発表した。そして、さらにその先の生活の見通しが示された。専門家会議が提言した「新しい生活様式」だ。

「新しい生活様式」とは、新規感染者数が減少し緊急事態宣言が終了した後、感染抑止と日常生活とを両立させるための手段だが、「買い物は1人、または少人数で。計画をたてて素早く済ます」「筋トレやヨガは自宅で」「歌や応援は十分な距離を取るか、オンライン」「食事は横並びで、おしゃべりは控えめに」「仕事はテレワークやローテーション勤務を推奨。会議はオンライン」といった、事細かな提案が続く。特に飲食店や小売店、スポーツジムなどの店舗経営者には、これでは緊急事態宣言がずっと続くようなものだと頭を抱えた人も多いだろう。

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「観光地は人でいっぱい」1億5千万人が国内旅行

 暗い気持ちになったところに飛び込んできたのが中国のニュースだ。新型コロナウイルス肺炎の震源地となった中国だが、現在では感染抑え込みにほぼ成功している。統計では毎日の新規感染者数はほぼ1桁台で推移し、国外からの感染流入や無症状感染者を足しても2桁前半だ。そして通常の生活が戻りつつあるように見える。中国では5月1日から5日までが5連休だったが、のべ1億1500万人が国内旅行を楽しんだという。福建省に旅行した友人からは、「にぎやか! 観光地は人でいっぱいです」という連絡も届いた。先が見えない日本からはどうにも羨ましく見える。

連休初日、5月1日の上海。人気の観光スポット・外灘遊歩道。マスクをした観光客らで賑わっている ©AFLO

 日本では緊急事態宣言終了後も長い長い「新しい生活様式」が待っているわけだが、中国はなぜ“普通の”生活が送れるのだろうか? 現地の中国人、在中邦人に話を聞いた(※5月初旬取材時の情報をもとにしています)。

北京では「通勤はコロナ前と変わらない。外食や映画館は……」

「確かに暮らしは日常に戻りました。でも、なにもかも昔と同じというわけではないです」と話すのは、北京市の金融機関に勤める黄さん(28歳、男性)。