だから強制的に休むようにしています。ぼくの場合はお昼の時間ですね。会社にいたときは昼もバナナやおにぎりを買ってきて、食べながら仕事をしちゃっていましたが、家では強制的に「昼は休む」と決めています。犬を散歩に連れていくついでにコーヒーとサンドイッチを買ってきて食べる。もう完全にその1時間は「オフ」にしました。だから通常の勤務のときよりも、わりと意識的にオンとオフをつくれるようになってきたかなと思います。
あと厳しいのが、通勤時間がなくなったことですね。意外にも通勤時間って、ものごとを考える時間だったような気がするんです。往復する時間がなくなったのはいいことなんですが、ものごとを考える時間がなくなっちゃったのには困っていますね。そこをどう工夫するかについては、まだ解がないです。ぼくの場合、起きたらすぐ「オン」になってしまうので、そこはもうちょっと自分で考えたいなと思っています。
在宅勤務が難しい部署も……
ツイッターは現在、全社完全に在宅勤務が基本なのですが、やはりシステムのセキュリティ上の問題があって、一部の部署は会社に来て対応することを許可しています。データセンターのメンテナンス担当者やオフィス設備の管理担当者など持ち出しができない部分なので、こういった業務で出社せざるを得ない社員のケアについては気を配っています。
ようするに、担当者は会社に来ないといけないので、その人たちの健康面をしっかりと監督していくことが、今まで以上に求められている。この状況がさらに続いていく場合、どういう勤務体系にしていくのかは検討しないといけないですね。
今回のことをきっかけに社外からのアクセスを緩和したりするようなことはありませんでした。というのも、もともと根本にあるデータ以外は社外からも専用線で管理されています。そこのセキュリティは万全なので、社外からでも仕事ができる環境は整っていますから。
あとは、法務や経理といった部門は、日本に限らずグローバルでどう対応していくのかは検討中です。そこさえもリモートで仕事ができるようにするためには、社内の規定を変えていく議論が必要になってきますね。
「平日に働き、土日に休む」スタイルが変わっていく
おそらくコロナウイルスがいったん収束し始めても、しばらくは時差出勤が求められるはずです。そうすると人の動きも変わっていくでしょう。
たとえばシンガポールでは「月曜日はどこどこのチームが出勤」「火曜日はどこどこのチームが出勤」というように分散して出勤することを一部で推奨していたらしいんですね。もしものときにクラスターになってはいけないということで。
するともう「通勤時間」というよりは「通勤曜日」すら変わってくるわけです。いまは「土日が休日」というのがあたりまえですが、そこもあまり関係なくなってくるのかもしれない。今後少しずつ変わっていって、それこそ10年後には今の働き方のスタイルが相当変わっている可能性はあるでしょうね。
(【続き】コロナ前後で聞いた「ツイッター社の社長の1日ってどんな感じですか?」 を読む)
構成=竹村俊助 @tshun423
写真=杉山秀樹/文藝春秋