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 こうした状況を見越して日産の株価は大きく下がっている。5月1日時点での株式の時価総額は約1兆4700億円しかなく、販売台数では5分の1程度のスバル(1兆5883億円)にさえも抜かれてしまった。

 内田氏は就任直後から、極めて厳しい局面でかじ取りを担うことを余儀なくされている。内田氏ひとりに経営危機寸前に陥った責任を問うのは酷だが、だからと言ってその経営スタイルに問題がないかと言えば、そうではない。

リーダーシップが見えづらい

 さらなる販売の落ち込みや新型コロナウイルス禍によって、昨年7月に策定したリストラ計画は早急に見直さなくてはならない。これこそが内田氏の最も大きな仕事と見られている。内田氏は、有無を言わせない「独裁体制」を敷いていたゴーン氏時代の組織風土を反省し、「反論が許される風土を浸透させる」方針を掲げた。つまり、ボトムアップによる改革を目指したわけだ。ところがいま、それが逆効果となって、「内田氏のリーダーシップが見えづらい」といった社内批判につながっている。

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©文藝春秋

 前出の日産幹部もこう語る。

「日産が今のような状況に陥ったのはゴーン氏の戦略ミスによることは明白だ。だが、敢えて言えば、こうした危機の局面では健全な時代のゴーン氏が見せたような強いリーダーシップが必要となる。しかし、内田社長にはその点が欠ける」

 販売会社や日産に部品を納入する下請け企業からも、日産本社の経営体制を不安視する声が出始めている。その多くが、未知数ともいえる内田氏の経営手腕に対する不安だ。内田氏は総合商社の日商岩井(現・双日)からの転職組で、日産では購買畑が長く、社内ネットワークに乏しい。販売会社や下請け企業にはその経歴などは知られていないのだ。

出典:「文藝春秋」5月号

 内田氏はいま、どのような信念で経営再建に臨んでいるのか。筆者は内田氏にインタビューを行い、その「戦略」について尋ねた。詳細は「文藝春秋」5月号および「文藝春秋 電子版」に掲載した「日産新社長『脱ゴーン』私の秘策を語ろう」をご覧いただきたい。

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日産新社長「脱ゴーン」私の秘策を語ろう