「2017年に『メガバンク3行で3万人リストラ』という報道が話題となりました。当然、新卒採用数も減少。その影響でメガバンクを志望する優秀な学生が減り、採用で大変苦戦したと言われています。このエピソードを知る人事の中には、『減らす』と回答しにくいところもあるでしょう。ちなみに当社は該当しませんが」
全ての人事がこのように考えているわけではない。ただ採用における企業としてのブランド力を気にするのが人事の常。よって採用減が確定していたとしても、「出せる情報」と「出せない情報」があるのも事実なのだ。
以上2つの理由を勘案するなら、「予定通り採用する」企業は「8割」よりもっと減少する可能性が高いと言わざるを得ないだろう。
これからも“リモート就活”は続く
2008年のリーマンショック時には、新卒採用数は翌年25%マイナス、翌々年20%マイナスとなり、就職氷河期が再来した(リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査」)。
新型コロナの治療薬、ワクチンが想像以上に早期に開発、普及すれば、景気のV字回復はあり得るが、長引けば厳しい状況が想定される。
また100年前のスペイン風邪では、日本でも、変異したウイルスの第2波、第3波に襲われ、根絶までに2年以上の時間を要している。
治療薬の開発に時間がかかるようなら、感染症の流行と非常事態宣言が、長期に渡り繰り返される可能性もある。
私が今年の就活を通して直接聞いたところ、本音では企業も就活生も対面での選考を望んでいる。しかし、しばらくの間はリモート状態で自らの魅力を伝えられるような準備が必要になることは間違いないだろう。
注1)20年5月1日時点の内定率は過去最高水準(50.2%)だが、19年5月1日時点の内定率は51.1%だった。内定率が昨年より若干下回ったのは、4月7日の緊急事態宣言以降、それまでの採用のスピードが若干落ちたからと推測される。