フリーとして古巣のDDTのリングに出場していたが、新型コロナの影響で4月以降の興行が縮小されてしまい、出番がなくなってしまった。
「現状、プロレスラーとしての収入はゼロです。入ってくるものはないですけど、体を鍛えるためのジム代だったり、生活のためのお金は出ていくので、正直言って苦しいです。グッズを作って販売も考えているんですが、それも初期費用が必要なので……。いまは確定申告の還付金が入ってきたので、それで食いつないでいますね」(島谷さん)
島谷さんは知り合いに紹介してもらった飲食店で接客をしたり、物流などの仕事も手伝っているという。
「バイトで肉体労働はしません」
プロレスラーのアルバイトといえば、その体格を利用して引っ越しや工事現場などの肉体労働をするイメージがあるが、実際にはそうではないそうだ。匿名で答えてくれたレスラーA氏は「バイトで肉体労働はしません」と言い切る。
「肉体労働をすると、確かに体は鍛えられるんですけど、ついてほしくない筋肉が付いてしまうんですよ。最近の選手はボディビルダーのような見栄えの良い体を目指す人が多いので、アルバイトは軽作業にして筋肉を休ませて、鍛えるのはジムで、というパターンが多いんです」(Aさん)
前出の島谷選手は、新型コロナの影響でジムも閉鎖されて通うことができず、自宅で体を鍛えているという。ただ、「いまのバイト生活がいつまで続くのか」という不安は大きい。
「いまの所は、声をかけていただいた仕事をやらせてもらうしかないですね。ただ、こうしてプロレス以外のお仕事がいただけるのも、レスラーとしての繋がりのおかげですし、応援してくれる方々のおかげだということを実感しています。お客さんの前で試合ができる日のために、いまは耐え忍ぶしかないですね」
耐えて、耐えて、再び立ち上がるのがプロレスの醍醐味のひとつ。新型コロナという強敵を相手に、バイトで食いつなぐレスラーたちがカウント2.9で肩を上げる日がくるのだろうか。