中年男女が給付金詐欺に手を染めている
警察庁のまとめによると、コロナ騒動に便乗した詐欺事件は3月上旬から目立ち始め、4月末までに全国で30件以上発生し、被害額は3000万円を超えている。
こうした詐欺事件は特別定額給付金の申請が始まる前にすでに始まっていた。特別定額給付金の支給など新型コロナウイルス感染拡大を受けて緊急経済対策を盛り込んだ補正予算が国会で成立したのは4月30日だが、4月下旬にはすでに「新聞には支給はまだこれからと載っているのに、代行しますという人が来た」という被害の相談が警察に多く寄せられていた。
首都圏の警察署の捜査幹部が、前のめりに高齢者から現金を巻き上げようとしている犯行グループの意図を推測する。
「社会全体がコロナ騒動で先行きが見えず不安なのと同様に、事件を起こしている連中も先行き不安のため、この騒動に便乗して取れるうちにカネを巻き上げようとしている」
実際、すでに逮捕された容疑者たちの取り調べでは、次のような供述が相次いでいるという。
「コロナで仕事がなくなってしまい、仕方なくやった」
「収入が急激に減ってしまい、SNSの『高額バイト』という募集につい乗ってしまった」
キャッシュカードの受け取り役の日当は3万円程度で、最高で5万円というケースもあるという。
昨年までは特殊詐欺事件の逮捕者は、オレオレ詐欺などに関わった若年層が中心だったが、コロナ騒動が拡大するなかで、50~60代の男、30~40代の女など、“分別ある大人”の犯行が増えているという。
詐欺関係では、大手運送会社の宅配便で注文していない大量のマスクが配達される事件も多発している。梱包を開くと箱の中に数百枚の大量のマスクが入っているという。捜査幹部が解説する。
「こうした宅配便は、『もしかしたら、家族が宅配を頼んだかも』と受け取ってしまう。それも配達してくるのは、いつもの大手運送会社の担当者だから不審に思わない。これは『ネガティブ・オプション』と呼ばれる送り付け商法。これまでも、高齢者の自宅に健康食品などを勝手に送り付け、後から高額な代金を請求する事件があった。対策としては、当たり前のことだが頼んでいない商品は封を開けずに返品するしかない」