「93年のカネは、日本政府が元慰安婦の調査を始めようとしたときに、応じないよう一筆取るために配ったもの。つまり挺対協は口封じのためにカネを払ったのです」(挺対協元関係者)
つまり92年や93年の支払いは極めてイレギュラーなケースなのだ。逆にそこまで過去に遡らなければ、挺対協への「寄付金は慰安婦のために使われなかった」という指摘に反証する証拠がなかったともいえる。
「慰安婦が死んでもこの運動は100年、200年と続く」
水曜集会で音楽に合わせてダンスが始まった。韓国では選挙でもデモでも歌や踊りが定番となっている。傍らには日本政府を糾弾する「公式謝罪」、「法的賠償」という日本語のプラカードが掲げられていた。
「慰安婦が死んでもこの運動は100年、200年と続く」
ある挺対協幹部はこう嘯いたという。彼らは慰安婦亡き後の活動まで視野に入れているのだ。
「少女像の近くを見ると、少女像と同じ髪型をした若い女性が座っていました。おそらく慰安婦のイメージを演出していたのでしょう。例え元慰安婦がいなくても挺対協は今後も水曜集会を続けていく、という強い執念を感じましたね」(現地で様子を観察した日本人)
韓国メディアも注視する尹美香・挺対協疑惑は、慰安婦問題における最終局面となるだろう。なぜなら彼女らの存在は常に解決の障害となり続けてきたからだ。
90歳を超え高齢となった元慰安婦たちが自らの手に問題を取り戻し、日韓が和解への道を歩み出す契機とするのか。それとも、挺対協が批判を乗り越え、再び反日活動を強めていくことになるのか。
「李容洙氏は『挺対協は解体すべき』と主張してます。しかし、尹美香氏や挺対協は今の状況を進歩(左派)派と親日派の闘いにすり替え逃げ切ろうとしており、同じ思想を持つ文在寅政権や与党『共に民主党』も彼女らに同調的です。
政権や与党は曺国を守ったように、尹美香氏も守るでしょう。議員辞任に追い込まれたり、挺対協が解散させられるという可能性は今のところ低い」(韓国人ジャーナリスト)
はたして慰安婦問題を巡る騒動はどのような決着を見るのかーー。
※新型コロナ対応のため、取材は著者の赤石晋一郎氏と現地記者による特別取材班で行いました。読者より「誤解を招く表現がある」との指摘を受けましたので、お詫びして訂正申し上げます。2020/05/14/21:20
紀伊国屋書店ウェブストアでも購入できます。