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「これまで挺対協は30年間、反日運動で韓国中を騒がせてきました。しかし、これから新しい時代を迎えるためにも、韓日関係は和解が前提にならなければなりません。和解なしにはいかなる過去の歴史も清算できないというのが、私の考えです。正義記憶連帯がずっと今のように反日運動を続け、被害者・ハルモニたちを苦しめるなら、私たちが乗り出して強く阻止する闘争をする、ということを申し上げます」 

「資金横領や不法流用は絶対にない!」挺対協の主張

 しばらくすると挺対協の水曜集会がスタートした。疑惑の渦中ということもあって、100人近くの韓国メディアが周囲を取り囲む。 

 新型コロナウイルス対策のため、中学生や高校生、大学生の動員はされず、集会はオンラインで生中継されることになった。 

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 大使館前には挺対協の主要メンバーや与党議員が顔を揃えていた。尹美香氏は姿を表さなかった。 

水曜集会の様子(特別取材班提供)

 李娜栄(イ・ナヨン)理事長はこう演説を始めた。 

「正義記憶連帯では個人的な資金横領や不法流用は絶対にない!  現在、正義記憶連帯に向けて行われている一部メディアの悪意ある歪曲報道は、市民社会全般に対する弾圧です。何よりも日本軍慰安婦問題に対する終結を試みる悪意ある意図に基盤すると考えられます。  

 この場で30年間余り続いてきたおばあさんたちと活動家たち、一緒にやって来た国内の市民の真摯な献身と連帯を傷つけないでください。そして韓国の歴史を守るために、私たちはもっと大きく連帯して屈せずに行動して行きます」 

「寄付金は慰安婦に配られた」挺対協が公開した92年の領収書

 いま尹美香氏らは様々な疑惑について、「親日勢力による謀略」という主張で逃げ切ろうとしている。しかし彼女らの稚拙すぎる説明は、謀略と主張するには矛盾が多すぎる。 

 例えば、挺対協はSNSで92年と93年に李容洙氏に対して計350万ウォン(約35万円)を支払ったという古びた領収書を公開している。李容洙氏の「寄付金は慰安婦のために使われなかった」という指摘に、反論した形となった。 

 なぜ古い領収書なのか。 

 私の取材によれば、92年、日本人の元大学職員から『私の退職金の一部を慰安婦のために使って欲しい』と1000万円が韓国大使館に寄付された。この寄付金は沈美子(故人)ら元慰安婦の自治組織である「ムグンファ姉妹会」に寄付されるはずだった。しかし、どういう経緯かその寄付金は慰安婦に渡らず挺対協が手に入れてしまうのだ。元慰安婦らが「横取りだ」と騒ぎ出したため、渋々お金の一部が配分されたものなのだという。