新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、家庭内での夫婦の時間が増加し、「コロナ離婚」が話題となっています。
心理カウンセラーの五百田達成さんにコロナ離婚を回避する会話術について聞きました。
新型コロナウイルスに見舞われたこの世界で、多くのものが失われました。
気の置けない仲間との飲み会、安心して食べられる外食店、安全な交通手段、爽快なフィットネスジム、熱狂のライブ……。
どれも「当たり前」と思っていて、実際に失ってみるまで価値に気づけなかったものばかりですが、そのリストに新たにもうひとつ、加わろうとしています。
夫婦です。
夫婦だから、家族だから、愛してるから、絆があるから……。どこかで「当たり前」と思っていた夫婦関係が、コロナによってあっさりと失われる。そんな「コロナ離婚」が注目されています。
ある日突然、一緒にいる時間が増えた
コロナ離婚の直接の引き金となっているのは、「家庭内で一緒にいる時間の増加」です。
それまで適度に距離を置き、それなりにうまくやってきた夫婦が、突然、四六時中家の中で顔をつきあわせることに。
最初のうちこそ、「ふたりで机を並べるなんて新鮮~」と楽しめていた夫婦も、次第に「もっと家事をやってほしい」「ひとりの時間が欲しい」など、不満が溜まっていきます。
いまほど夫婦の強度が試されていることはないでしょう。実際、おしどり夫婦で知られていた家庭からも、不協和音が聞こえ始めています。
では、コロナ離婚という事態を招かないためには、どうすればいいでしょうか?
答えはコミュニケーションにあります。人と人がうまくやっていくためには、技術としてのコミュニケーションを駆使するしかないのです。
「話さなくてもわかる」は幻想
そもそも、人と人との関係は、わかり合えない、通じ合えないことを前提にすべきです。
たとえば外国人観光客、世代の違う上司など、言葉が通じない相手には、一生懸命話して、身振り手振りを駆使して、伝えようとしますよね。その心意気、がんばりが夫婦間でも必要です。
たいていの夫婦が「夫婦だから」「家族だから」と、なあなあで済ませて、きちんと話していなかった。そこをコロナに突かれた、というわけです。
「言葉にしなくても通じる間柄」というのは幻想です。「家ではぼーっと過ごしたい」というのは甘えです。夫婦は今こそ、もっとがんばって話さなくてはいけません。多くの時間を家庭内で過ごすことになった今、家庭内こそが社会であり、夫婦こそが最も身近なビジネスパートナーなのですから。
大事な相手にはきちんと話す。当たり前のことです(もしそれほど大事じゃないということがわかったなら、それこそ、コロナの収束を待つことなく、離婚すればいいでしょう。それはそれで、コロナがもたらした効用です)。