1ページ目から読む
2/2ページ目

◆ポイント1:会話の量を2割増しに

 

 では、具体的に何をどう話せばいいのでしょうか?

 最初のステップとして、まずは量を増やしましょう。「会話量の2割増し」を目標においてみてください。

 話すことがない場合は、同じ事を何度も話すのもいいでしょう。それでもなかったら、「ねえ」でも「天気がいいね」でも、なんでもかまいません。

ADVERTISEMENT

 長年やってこなかったことをしているのですから、まずは慣れる必要があります。多少無理をしてでも会話を増やして、とにかく夫婦で話すことに慣れましょう。

◆ポイント2:ビジネスライクに家族会議を開く

 次に質です。質には大きく分けて二つあります。

 そのうちのひとつが「ビジネスモード」。具体的には仕事の基本である「密で正確な報・連・相」を心がけましょう。

 電球を買ってきてほしい、何時から何時まではリビングを使う、役所への提出書類、子どもの相手をするルール……。

 夫婦で決めるべきこと・判断すべきことはたくさんあります。わかりきっていることでも、細かく、何度でも、しつこいぐらいに確認・共有し合いましょう。

 その際、メモや付箋、ホワイトボード、Googleカレンダーも有効です。単純な行き違い、低レベルな連絡ミスをなくせば、直接的なイライラはぐっと減ります。

 また、ビジネスライクに話し合いを進めるのも有効です。たとえば家にいる時間が増えたのに家事を手伝ってくれない夫に対しては、「もう、ちょっとは手伝ってよ!」とキレるのではなく、「今後の家事の分担について見直したいんだけど」と話し合いの機会を設けるのです。

 まずは現実的な問題を解決すべく、頭を仕事モードに切り替えて、テキパキと効率的にコミュニケーションを取る。これが第2段階です。

◆ポイント3:カウンセリングごっこで不安を解消

 現実的なトラブルや行き違いが減ってきたら、今度は、メンタルのケアです。

 その際は話し方のモードを、別にもうひとつ設けなくてはいけません。それが「カウンセリングモード」。具体的には、優しく気持ちにより添う「傾聴のスキル」が必要になります。

 いつ収束するかわからなくて不安、こんな記事を読んで動揺した、隣の家はこうするらしいけどうちはどうしよう……。

 パートナーのこういう「悩み」「愚痴」に対して、ビジネスモードでテキパキと接するのは絶対にしてはいけないこと。それこそ、コロナ離婚一直線です。

 「相手が弱ってるな、気持ちを吐き出してるな」と感じたら、スイッチを一瞬でカウンセリングモードに切り替えて「聞く」に徹します。

 ひたすらに聞く、うなずきながら聞く、質問・上から目線のアドバイスはしない、「わかるよ」「そうだね」とただただ相手の気持ちに寄り添う……。

 一方的に傾聴するのは疲れるでしょうから、時間を決めて、お互いに愚痴をぶつけ合う(相手は聞くだけ)「カウンセリングごっこ」も有効。くれぐれも、普段のビジネスモードでやりがちな「話をまとめる」「結論を出す」は厳禁です。

 以上が、コロナ離婚を防ぐためのコミュニケーションのコツになります。

コロナを乗り越えれば、熟年離婚も防げる

 夫婦とは、家庭を一緒に経営していくパートナーです。

 コロナという経営危機に際し、普段よりも密な「連絡」が求められます。夫婦とは、一生顔を合わせていく信頼すべき同居人です。コロナという不安を前に、普段よりも優しい「傾聴」が求められます。

 会話自体に慣れないうちはまずは会話量を増やし、次に報・連・相を密にして問題の解決に努め、そして、優しく話を聞き合ってお互いの不安を解消する。

 こうしたコミュニケーションに夫婦ともに取り組めば、コロナだけでなく、いつかやってくる次の危機「熟年離婚」さえも退けることができます。

 突然、始終一緒にいることになった夫婦。手を抜いて話すとモメるのは当たり前。がんばって一生懸命話しましょう。

 コロナ離婚を避けるためには、それしかありません。

五百田達成(いおた・たつなり)
作家・心理カウンセラー。「コミュニケーション心理」に関する書籍を多数執筆。最新刊は「超雑談力」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
Twitter @ebisucareer
note https://note.com/iotatatsunari

記事提供:CREA WEB