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柳亭小痴楽が語る“やりにくさ”と“嬉しさ”
華やかさと切れのある口跡で若者人気も高く、昨年9月に落語芸術協会としては15年ぶりに単独で真打昇進を果たした柳亭小痴楽は、すでに何度かオンラインの高座に上がり、その“やりにくさ”を実感していた。
「目の前にお客さんが居ないので、伝わっているのかに不安がある。また、自分の声以外は無音なので、ちょっとした雑音や何かが凄く気になってしまう。そんな中でも、やっぱり落語ができるという事に、本当に楽しさというか嬉しさがありますけどね」
バンドマンから28歳で落語家に転身、芸歴は短いが、いま最も実力のある二ツ目として年間1000席もの高座に上がる三遊亭わん丈も、場数を踏みながら手応えを掴んでいる。
「私は生ではけっこうお客様のご様子を伺いながら喋る方なので、最初はどうなるかと思っておりましたが、ラジオのときの感覚で、カメラの向こうのお客様にマンツーマンで話しかけるように落語をすると、楽しくやれるようになって参りました」
ベテランである雀々も、日々短い動画をTwitterに上げたりと、積極的に新しいツールに触れ、試行錯誤を積み重ねながらオンライン落語に挑んでいる。
「やってみると、なかなか楽しい。間の取り方は難しいけど、今、お客さんは笑ってるんだろうなと想像しつつ喋ってます。とにかく落語を喋れること自体が嬉しいので、自分のテンションが上がれば楽しくできますね」
落語は演劇などと異なり、座布団とカメラが最低一つあれば、画角を変えることなく、その芸を伝えることができる。カジュアルに配信できるツールの普及も、オンライン落語普及の要因の一つだろう。