「高級輸入車の入庫台数は昨年と変わりませんよ」

 ガラスコーティングの会社を経営する社長は、いつもと変わらぬ口調で答えてくれた。ボディを特殊な成分で覆い、輝きを出すガラスコーティング。業界屈指の腕前ということもあり、その会社の料金は相場よりもやや高めの設定だ。フェラーリの一番高いグレードでコーティング料は40万円以上。コロナ禍の影響で売上が厳しいと思いきや、昨年と受注件数はほぼ変わらないという。

「高級車はコロナ禍でも調子よく売れていますよ」

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 にわかには信じられない話だった。

フェラーリ・812スーパーファスト。最高出力の800馬力、史上もっともパワフルなフェラーリ。コロナショックでもフェラーリは売れているというが本当だろうか? ©iStock.com

「自粛でショールームに人が来ないんです」

 コロナ禍での車の売れ行きが気になり、早速、取材をすることにした。まずは国産車の状況を知りたいと思い、知人の自動車販売店の社長に電話をかけた。

「昨年と比べて大幅ダウンですね」

 某国産メーカーの看板を掲げる知人は、匿名を条件に取材に応じてくれた。

「自粛の影響でショールームに人が来ないんです。タイヤ交換の案内をしても、『今は行きたくない』と断られますね」

2019年、国内の車名別新車販売台数で1位だったプリウス。なお2020年4月のトヨタの販売実績は前年同月比で約79%ほどだという(自販連調べ) ※写真は本文とは直接関係ありません ©iStock.com

 ため息をつく社長。ただ、暗い話ばかりではないようだ。

「リースで車に乗られているお客様が、再リースをかけてくれるケースが増えました。同じ車に長く乗る人は、一時的に増えるかもしれません」

「電車通勤は感染リスクが高いから、車を買いに……」

 国産メーカーが厳しいことはよく分かった。では、BMWやベンツはどうだろうか。以前、世話になったBMWの営業マンがいたので、久しぶりに連絡を入れてみた。