「高級輸入車の入庫台数は昨年と変わりませんよ」
ガラスコーティングの会社を経営する社長は、いつもと変わらぬ口調で答えてくれた。ボディを特殊な成分で覆い、輝きを出すガラスコーティング。業界屈指の腕前ということもあり、その会社の料金は相場よりもやや高めの設定だ。フェラーリの一番高いグレードでコーティング料は40万円以上。コロナ禍の影響で売上が厳しいと思いきや、昨年と受注件数はほぼ変わらないという。
「高級車はコロナ禍でも調子よく売れていますよ」
にわかには信じられない話だった。
「自粛でショールームに人が来ないんです」
コロナ禍での車の売れ行きが気になり、早速、取材をすることにした。まずは国産車の状況を知りたいと思い、知人の自動車販売店の社長に電話をかけた。
「昨年と比べて大幅ダウンですね」
某国産メーカーの看板を掲げる知人は、匿名を条件に取材に応じてくれた。
「自粛の影響でショールームに人が来ないんです。タイヤ交換の案内をしても、『今は行きたくない』と断られますね」
ため息をつく社長。ただ、暗い話ばかりではないようだ。
「リースで車に乗られているお客様が、再リースをかけてくれるケースが増えました。同じ車に長く乗る人は、一時的に増えるかもしれません」
「電車通勤は感染リスクが高いから、車を買いに……」
国産メーカーが厳しいことはよく分かった。では、BMWやベンツはどうだろうか。以前、世話になったBMWの営業マンがいたので、久しぶりに連絡を入れてみた。