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最初からこのデータを見ればよかったと思いながらも、現場を取材したおかげで、コロナ禍でも、人は欲を止めることができない生き物だということを、改めて知ることができた。
しかし、データを細かく精査してみると、別の側面も見えてきた。フェラーリと同じ高級輸入車ランボルギーニも昨対比133.3%と好調。対してBMWは58.9%、ベンツも62.8%と、輸入車全般としては苦戦している。
一方、2月に小型車ヤリスを発売したトヨタが79.1%、同クラスで新型フィットを同じ時期に出したホンダが80.8%と、新しい低価格車をリリースした国産メーカーは、コロナ禍でも辛うじて踏ん張れていることが分かる。
4月の自動車販売台数だけで、今後の日本経済を占うのはあまりにも乱暴過ぎる。しかし、コロナ禍で衛生用品やスーパーに特需が起きて、飲食店やアパレルが大打撃を受けているような昨今の状況を考えると、自動車業界にも、「売れているもの」と「売れていないもの」の格差が広がっているようだ。
やがてこの格差が収入の格差にまで影響を及ぼすようになれば、今まで以上に超高級なモノが売れるようになり、一方でコストパフォーマンスの高い低価格商品が売れるようになる。そうなれば、価格帯で真ん中に位置する、今まで消費者が“なんとなく”購入していたブランドは、ますます苦戦を強いられるのではないか。そう考えると「コロナ禍にフェラーリが売れた」という事実は、少し背筋が寒くなるような消費動向に思えてしまう。