「ポルシェは売れませんでした。でも、2000万円のアストンマーチンのDB2と、1600万円のアウディR8は売れましたね」
コロナ禍でも1000万円超えの車は売れていた。それでも松本さんは「昨年よりもお客様は少ないですよ」と言葉を続けた。
「4月の緊急事態宣言からはピタリとこなくなりました。でも、うちのお店はネットで全国に車を販売しているので、問い合わせの数は大きく落ちなかったですね」
しかし、ショールームに足を運ぶ人が減れば、ネットからの問い合わせが増えても、売上に繋げていくのは難しいのではないか。
「うちの店はお客様との信頼関係ができているので、実車を見なくてもネットで車を購入してくれる人が多いんです。コロナ禍で大きく売上を落とさなかったのは、今までコツコツと積み上げてきた実績があったからだと思います」
コロナ禍でネット通販が盛況なのと同じで、自動車販売でもネットによる販売が好調のようだ。だが、それでも1000万円を超える高級車。なぜ、コロナ禍という厳しい状況下で、あえて購入するのか。
「『今、そこに欲しい車があるから』ではないでしょうか。特にうちのお店はレアな車が多いので、買い逃したくないという思いのほうが強いんだと思います」
車好きの心は、コロナ禍とは無縁のようである。
中古でも3000万円以上 フェラーリを買った人は?
ここまで来たら、フェラーリの売れ行きも知りたくなった。中古車でも優に3000万円は超える車だ。果たしてコロナ禍で買った人はいるのか。
しかし、取材は予想外に難航した。匿名でも構わないと言っても、正規販売店はおろか、輸入中古車の専門店からも取材は断られ続けた。
「取材拒否は仕方ないよ」
そう話すのは、多くの輸入車ディーラーと仕事上の取引がある学生時代からの知人。取材拒否の愚痴をこぼしたところ、フェラーリ特有の事情を話してくれた。