新型コロナウイルスの感染拡大が追い風となっていたドラッグストア業界では、チェーンによって好不調の差が出てきた。
食品や調剤に強い、広い駐車場を持った郊外型立地のチェーンが業績を伸ばす一方で、化粧品やインバウンドで集客してきた都市型立地のチェーンが低迷している。
2月のドラッグストア各社は、トイレットペーパーが不足するというデマ情報もあって、不安に駆られた顧客が紙製品の生活雑貨を求めて殺到。スギHDの前年同月比120.9%(既存店)をはじめ、上場企業全ての売上が前年同月を上回った。
「低迷するマツキヨ」明暗分かれた3月
ところが、3月の既存店売上高を見ると、郊外型に強いツルハHD、ウエルシアHD、コスモス薬品、スギHDなどが軒並み前年比でプラスとなっているのに対して、都市型を主力とするマツモトキヨシHDは同89.4%と2桁も落ち込んで低迷しており、明暗が分かれた。
都市型の特にインバウンドを強化してきたチェーンの苦境は、マツモトキヨシに限らず、ドラッグストアが立ち並ぶ大阪・心斎橋の各店が、中国人観光客の爆買い需要の消滅で、どの店も空いていることからも明らかである。「ダイコクドラッグ」を展開するダイコクでは、大阪、北海道、沖縄などの観光地立地の店舗を、3月以降すでに8店ほど閉店している。
ドラッグストア各社によれば、「食品や、アルコール消毒液のようなコロナ対策用品は引き合いが多い。トイレットペーパーなどの紙製品類も、落ち着いてきたがよく売れている。一方で、マスクで顔を隠しているから、化粧品が売れない」といった見解で一致しており、この傾向は4月以降も継続している。
ドラッグストアに、勝ち組と負け組がはっきりと分かれてきた。
7兆円産業……すでに百貨店を上回る存在に
コロナ禍も、ゴールデンウィークの緊急事態宣言下の国民的なステイホーム効果によって一服感が出ているが、2月末に小中学校・高校の一斉休校が政府より要請されて以来、存在感を増しているのがドラッグストア業界である。