このスギと近似したビジネスモデルを持つのが、イオンの子会社でもあるウエルシアで、イオンとしてはコンビニでミニストップが伸び悩んだのを、取り返そうと懸命だ。20年2月期決算では、医薬品・衛生介護品・ベビー用品・健康食品20.5%、調剤17.9%、化粧品17.3%、家庭用雑貨14.7%、食品22.1%、その他7.6%となっており、こちらの商品別売上構成比もバランスが取れている。
大都市駅前、繁華街での立地が多く、秋葉原、銀座などでインバウンド需要を目一杯取り込んできたマツモトキヨシは苦しい。20年3月期決算の小売の商品別構成比は、医薬品27.1%、化粧品40.9%、雑貨20.1%、食品11.8%となっており、化粧品が4割を占めているのに対して、食品が1割と非常に弱い。
都市型の小型店が多いという点では、3月、4月と既存店売上が前年を割れた、ココカラファインも似た面がある。20年3月期決算の商品別構成比は、一般用医薬品14.2%、調剤17.7%、化粧品29.1%、健康食品2.8%、衛生品11.7%、日用雑貨13.6%、食品11.0%。化粧品が3割でマツキヨほどではないにしても強く、同じく食品が弱い。
「マツキヨ+ココカラ」合併で業界地図はどうなる?
一方で、ココカラは調剤の比率が2割に迫り、前期比で2桁近くと最も成長している。次の成長分野をきちんと育てているので、化粧品の不振を乗り越えられる道筋が見えている。
コンビニに比べて、はるかに群雄割拠のドラッグストア業界は再編中で、17年には22年間業界トップの売上を走り続けてきたマツモトキヨシが、M&Aで肥大してきたウエルシアとツルハに抜かれて、一気に3位に転落している。
しかし、21年に予定されているマツキヨとココカラの経営統合で、トップが入れ替わる計画だ。19年にM&Aによって初の首位に立ったツルハは、成長率の高いウエルシアに今年は抜き返されて、2位に落ちる模様だ。
ところが、マツモトキヨシは再び首位に立ったから安泰では全くない。コロナの影響が続く限り化粧品は低迷し、インバウンドの売上はゼロに等しいだろう。今後、コロナの2波、3波の流行も予想される中で、むしろ調剤、介護など地域医療のノウハウに勝るココカラファインの主導で、再建が目指されるのではないだろうか。
(【続き】バナナ、たこ焼き、かぜ薬…“特需”ドラッグストアで「意外に売れたもの」「売れなかったもの」 を読む)
写真=長浜淳之介