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あえて人口1万人の郊外で勝負する「コスモス薬品」

 大きな駐車場を持った郊外型の「小商圏型メガドラッグストア」を多店舗展開するビジネスモデルを日本で初めて確立したのは、九州を基盤に東征し、今は中部と関東に侵攻しつつあるコスモス薬品とされている。コスモスも今年に入って既存店売上高が全ての月で前年を超える、好調ぶりだ。

 小売業の常識は大きな商圏に大型店、小さな商圏に小型店。しかし同社は、あえて人口1万人の小商圏に売場面積2000平米または1000平米の店舗をつくり、地域住民の日々の暮らしに必要な消耗品がワンストップで揃う利便性を追求している。

九州を基盤に店舗を広げていったコスモス薬品。昨年は6111億円を売り上げ、業界3位に

 コスモスの20年5月期第3四半期決算によれば、商品構成比率は、一般食品56.3%、医薬品15.5%、化粧品10.4%、雑貨16.5%、その他1.3%となっており、ゲンキーほど極端でないものの、食品の比率が6割に近く、医薬品は15%程度にとどまる。しかし、同社は近年調剤を併設した店舗にも取り組んでおり、将来的には全国展開すると見られ、決して医薬品を疎かにしているわけではない。

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 コスモスと同じタイプのドラッグストアは多く、カワチ薬品、クスリのアオキHD、サンドラッグ系列のダイレックスなどが該当する。ゲンキーもこの中に入るが、コスモスなどが積極的に取り組んでいない生鮮を強化しているわけだ。

売上業界4位のサンドラッグ。系列にダイレックスがある

「勝ち組」スギ・ウエルシア、「負け組」マツキヨ・ココカラの“差”は?

 調剤強化型の代表はスギHDで、地域医療の拠点となる店づくりを進めており、自治体に協力して店舗でがん集団検診の開催なども行っている。創業の頃から調剤を行なっていた。このチェーンも今年に入って、全ての月で前年の売上を上回っている。

 一方で、「小商圏型メガドラッグストア」的な考え方も取り入れており、ワンストップショッピングに力を入れているが、近年は都心型の店も増えてきた。そのため、バランスが取れた売上構成比となっている。20年2月期決算では、調剤22.0%、ヘルスケア21.4%、ビューティ20.6%、ホーム18.8%、フーズ17.1%、その他0.1%であり、主要5分野が2割前後のシェアで拮抗しているのが特徴だ。